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喜界島に生まれて(7)国連で働く身だしなみ

国連職員はウガンダでは憧れの職業。でも僕は泥まみれで写真を撮るのが好きだった

住岡尚紀 明治学院大学生

拡大ボランティアデーのイベントで市場を掃除
 この年はウガンダの国内選挙をはじめ大きなイベントがたくさんあった。

 僕は国連事務所の広報担当だったので、国連のSDGs関連のイベントがあれば現地へいき、現地の記者と一緒に取材し、写真を撮った。新聞やテレビ局の記者の動きを見て、ついていくことから始めた。その場にいた記者の誰かが撮ったであろう写真が次の日の新聞で掲載されたり、そのイベントのニュースがテレビで放送されたりしたら、自分の写真と見比べ、どうしたらもっと上手に撮れるか考えた。

 一番のイベントは12/5日の国際ボランティアデーだった。その日に向けて国連事務所も大忙しだった。マーチングバンドを引き連れて首都カンパラ市内の事務所から近くの市場まで歩き、そのあと、市場の掃除を行う計画だ。

 その日のためにTシャツをつくり、みんなでパレードを行った。全員が新品のTシャツを身に付け、大きな横断幕を広げ、颯爽と歩く。ストリートチルドレンたちも、貧しい人たちも、足をとめて僕らの方をみている。

 国連職員は現地の人から見て憧れの職業だ。僕が国連で働いているというと、「俺も国連職員として働きたい。車も免許も持ってるから雇ってくれないか」と現地の優良企業に勤めている人からも言われた。

 国連事務所の上司は毎日スーツを来ている。「国連職員らしい身だしなみをしなきゃだめだよ」としばしば注意された。

 雨の日に舗装されていない赤土の道路を歩いて通勤すると靴が汚れる。事務所を出るときは靴を磨いてからいくようにとも言われた。常に国連で働いている自覚とプライドを持ち、清潔感を保って生活するようにとも言われた。

拡大筆者が撮影した写真を使った国連カレンダー。明治学院大学の一角に。

 国連で働いていると普段会えない人に会える。同時に国連で働いているからこそやりにくいこともある。とくに悩ましかったのは、支援システムの構築など「全体の視点」が優先され、いま目の前で困っている1人の人を実際に助けることが思いのほか難しいことだった。

 僕がウガンダで撮った写真は、国連のカレンダーにいくつか採用された。靴を泥まみれにしながら撮影したものもある。国連事務所内で働くことよりも、外に出てカメラを構える方が、僕は好きだった。上司もそう感じて、撮影の仕事を回してくれたのだろう。

 喜界島の実家と明治学院大学の国際センターに置かれた古びたカレンダーを見るたびに、あの日々を思い出し、気持ちが新たになる。<to be continued>

「喜界島に生まれて(完)ローカルとローカルを繫ぐ」につづきます。最終回です。

拡大喜界島

 

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筆者

住岡尚紀

住岡尚紀(すみおか・なおき) 明治学院大学生

1995年喜界島生まれ。鹿児島県立喜界高校を卒業後、明治学院大学に入学。2015年に国連ユースボランティアでウガンダ共和国のUNDPに派遣。2016年、内閣府次世代グローバル事業世界青年の船に参加。バイトを4つ掛け持ちしながら俳優業にも挑戦中。中高の社会科と英語科の免許取得を目指し在学中。将来の夢は「島と世界を繋ぐジャーナリスト」。

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