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トランプのアメリカの「冷たい内戦」

梅原季哉 朝日新聞記者(東京本社編集局長補佐)

大統領選の時と同じ「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)のキャッチフレーズが印刷されたプラカードがそこら中で揺れていた=2018年9月20日拡大大統領選の時と同じ「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)のキャッチフレーズが印刷されたプラカードがそこら中で揺れていた=2018年9月20日

 9月20日の夜、ネバダ州ラスベガス。カジノとエンターテインメントの街の一角にある、だだっ広いコンベンション・センターに、ホールを埋め尽くさんばかりの人たちが詰めかけていた。ほとんどの人が赤い野球帽をかぶっている。トランプ氏を推す共和党のイメージカラーだ。

 「アメリカを再び偉大に」などと印刷されたプラカードを持っている人も多い。会場内に入ると、巨大な星条旗が、正面だけでなく、左右にも見開くように3枚配置されている。

 今回の中間選挙で改選を迎えるネバダ州選出の連邦上院議員、ディーン・ヘラー氏は6年前、共和党現職として民主党新顔を僅差(きんさ)で破って再選された。その一方、ネバダは2016年の大統領で民主党(イメージカラーは青)のヒラリー・クリントン氏がトランプ大統領を破って選挙人を獲得した「青い州」の一つでもあり、ヘラー氏はそうした州で上院の席を守らなければならない唯一の共和党現職だ。

 しかし、3選をめざす今回、支持率は伸び悩んでいる。そこで、投票まで1カ月余りとなったこの時期、テコ入れのためにトランプ氏が乗り込んでいって、選挙集会を開いたのだ。

 「USA! USA!」。ほとんどの聴衆が、そう大声で唱和する中、演壇に上がったトランプ氏は上機嫌だった。「ハロー、ラスベガス! 元気かい?」

 そしてこう切り出した。「アメリカは再び勝ちつつある。今は我々の国にとって信じられないようなすばらしい時だ。後ろの方にいるフェイク(偽)ニュースからきた連中を別にすれば」。

 最初のジャブが会場後ろの記者席に向けて放たれた。すると、聴衆も一斉に後ろを向いてブーイングを浴びせる。 

何段もギアが上がったブーイング

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筆者

梅原季哉

梅原季哉(うめはら・としや) 朝日新聞記者(東京本社編集局長補佐)

1964年生まれ。国際基督教大学(ICU)教養学部卒。93~94年、ジョージタウン大学外交学部MSFSフェロー。88年朝日新聞入社、長崎支局、西部本社社会部などを経てブリュッセル、ウィーン、ワシントン、ロンドンで特派員。著書に『ポーランドに殉じた禅僧 梅田良忠』(平凡社)、『戦火のサラエボ100年史』(朝日選書)。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです