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沖縄で勝ち、品川で負けた。野党共闘の課題は?

与野党一騎打ちになった二つの地方選。その明暗から参院選への課題が見える

山下剛 朝日新聞記者

 佐藤氏は1985年の東京都議選で初当選して連続6期務めたが、当時は自民党に所属していた。都議会自民党の政調会長、幹事長、自民党東京都連の副会長、幹事長代理などの要職も歴任している。

 それだけではない。

「若い頃は(自民党の)福田派に出入りしていた。安倍(晋太郎)事務所にも書生のような形でいたかも」

 安倍晋三事務所の関係者はこう打ち明ける。故・安倍晋太郎氏の時代のかなり古い話とはいえ、自民党から、しかも安倍首相の「身内」からいわば寝返った格好だ。

 自民の「身内」から対立候補が出て、しかも立憲、共産が支援に回った。現職の浜野氏の陣営の警戒感は一気に高まった。

 9月3日、JR大井町駅の近くであった浜野氏の総決起大会。会場には、衆院選東京3区で議席を争ってきた「長年のライバル」である石原宏高氏(自民)と松原仁氏(無所属)も顔を揃えた。地元選出の東京都議、伊藤興一氏(公明)はこう訴えた。

「もしものことがあったら品川区は共産区政になる。これは大変なことになる。品川区を共産区政にしてはならない」

 危機感の理由は、立憲と共産の選挙協力だけではない。6月の東京都中野区長選では、自民と公明の支部などの推薦を受けて5期目を目指していた現職が、立憲、国民などが推薦した新顔に敗れているのだ。

保守層を取り込め

 一方の佐藤氏。9月27日にJR大井町駅前であった街頭演説では、立憲民主の長妻昭代表代行と共産党の小池晃書記局長が選挙カーに上った。長妻氏は「一騎打ちの構図に持っていかなければ現職の壁は厚い。政党がそれぞれ候補者を立てていたらどうなるんだ」と訴え、小池氏は「共産区政になるって、失礼じゃないですか。佐藤さんはもともと自民党ですよ」と力説した。

拡大街頭演説に集まった人と握手をする佐藤裕彦氏(中央)=9月27日、JR大井町駅前

 今回、立憲民主や共産が佐藤氏支援に回るまでには「相当苦労があった」と陣営関係者は振り返る。それでも野党がまとまったのは「もともと自民党」の佐藤氏を担いででも保守層を取り込んでいかないと、「1強」といわれる安倍自民に勝てないという事情がある。

 沖縄県知事選で玉城デニー氏が強く打ち出したのは「翁長知事の遺志を引き継ぐ」ことだった。翁長氏はかつて自民党県連幹事長をつとめ、2014年に沖縄県知事選で初当選した際には自民党など保守層の一部からも支持を獲得していた。玉城氏は、この支持基盤を引き継ぐことができたからこそ、当選できたといえる。

 今回、立憲民主や共産が「もともと自民党」の佐藤氏に白羽の矢を立てたのも、保守層の受け皿になることを期待したからだ。野党が保守層までも取り込む形で与野党一騎打ちの構図に持ち込み、4年前より投票率を引き上げた品川区長選は、今後の野党共闘のロールモデルになる可能性がある。

候補者一本化は最低限の条件

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筆者

山下剛

山下剛(やました・ごう) 朝日新聞記者

1999年、朝日新聞入社。高知、京都総局、大阪社会部を経て、2008年から政治部。首相官邸や自民党、民主党を担当し、第2次政権発足前の安倍晋三首相の番記者などを務める。2013年に世論調査部に移り、世論調査や選挙の情勢調査、出口調査に携わる。2016年からは地域報道部。

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