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29時間で身につく「にわか韓国語講座」(5)

第2章 ハングルは怖くない 1.暗号のような丸や棒は「舌」「口」の形

市川速水 朝日新聞編集委員

子音の主役級は6つです

 では、「暗号」の解読にとりかかりましょう。結局、最初は覚えなければいけないのですが、むやみに暗記する必要はありません。

 文字は子音(日本語の「あかさたな」)と母音(日本語の「あいうえお」)の組み合わせですが、最初から全部を同じ存在感(重要性というか…)で覚える必要はありません。優劣があるのです。

 まずやって欲しいこと。最大のこつは「主役級の子音と母音をじっくり眺めること」です。眺めるって、ばかばかしいですよね。普通の語学とかけ離れています。でも、とにかく眺めてください。

 なんだ、この形は? 何かに似ていないか? と。

 丸や棒は「舌」や「口」の形を模しているからです。体の器官なのです。

 ハングルが発明された「コンセプト」を大雑把にいうと、母音(右側のつくり)は「陰陽」と関係があり、子音(左側のへん)は「音を出す時の器官の形」と関係があります。息の出し方や喉、舌、歯、唇の様子を表したものです。子音は一見、たくさんありますが、基本となる主役級の子音は次の6種類と考えてみてください。

①ㅇ ②ㄱ ③ㄴ ④ㅅ ⑤ㅁ ⑥ㄹ です。

 いやいや、50音表のような文字列(反切表といいます)にはもっとたくさん並んでいるじゃないか、辞書の子音の順番「カナダラマ」(「あかさたな」に相当します)と比べても少なすぎるではないかと思った人、ちょっと待ってくださいね。

 ここで、「じっと眺める」を始めましょう。

 ①をじっと見てください。のどがまん丸、口の中が空洞、あるいは「ゼロ?」「無?」。そうです。余計な子音の付かない「あいうえお」に相当するものなのです。無の状態のまま「ハー」とため息をつくと、別な子音の「ㅎ」になります。上のナベブタのような飾りは「ため息」なのです。だから하は「ハー」と「ア」で「ハ」。私にくるメールで「ㅎㅎㅎ」と書いてあることが多いのですが、「ふふふ」という笑いです。もちろん実際にはない言葉の遊びです。

 次に②です。じっと眺めましょう。角張っています。クの字にも似て、向かって右が顔、左側が口。舌が上あごに付いて左側に息を吐き出しているように見えませんか? そうです。「カ行」です。「ㄱ」を喉の奥から出すと「ㄲ」、破裂するように切れをよくすると「ㅋ」となります。ちなみに、メールで少しブラックな笑いとして「ㅋㅋㅋ」と使うこともあります。「クックック」ですね。

 主役級がダブルキャストになったり、ヒゲのような飾りがついて別な子音になったりするというわけです。日本語カタカナで表せば、同じカ行です。発音もそれほど変わりません(とまで言うと韓国語の先生はムっとすると思いますが)。

 さあ、③です。じっと眺めましたか? 今度は舌の先が下あごの歯茎につく感じ。「ヌ」ですね。ナ行です。「ㄴ」の状態から息を出す(息の分、横棒一本を足します)と「ㄷ」(タ)、さらに強く出すと「ㅌ」(ッタ)、喉の奥から出すと「ㄸ」。

 ④は漢字の「人(ひと)」みたいですね。前歯同士が隣り合っている、歯の間から息が出ている感じがしませんか? 「シー」という音が。そう、サ行になります。「ㅅ」は普通のサ行、喉の奥から出すと「ㅆ」、濁らせると「ㅈ」(チャ・チ・チュ・チェ・チョ)、それを喉から出すと「ㅉ」、チェッという感じで破裂させると「ㅊ」です。一本ずつ線が増えていって、発音のバリエーションも増えていくという仕組みです。

 ⑤は一番分かりやすくないですか? 口を結んで唇を合わせる「ム」、つまり「マ行」になります。「ㅁ」の状態から少し息を出すと「ㅂ」(プ、のパ行)、それを破裂させると「ㅍ」、喉から出すと「ㅃ」になります。

 ⑥も分かりやすい。舌がくねっとねじれたような形、わかりますよね。「ラ行」です。いかにも、でしょう? 己(おのれ)に似ていますので、「おのれの『れ』」と覚えてもいいでしょうね。

 おや、いつの間にか子音の主役級が出そろいました。おびただしい数に見える子音は、いくつかのグループに分けられるのです。

 その主役から派生する「ダブルキャスト」「息の飾りが付いた文字」をおさらいします。

 喉の奥から出す音(濃音といいます)は、二つ並べたもの。

 破裂させる音(激音といいます)は、ヒゲや点が加わったもの。

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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