メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

安倍改憲を阻止するただ一つの方法

山尾志桜里 衆院議員

第4次安倍改造内閣が発足。記者会見する安倍晋三首相=2018年10月2日、首相官邸拡大第4次安倍改造内閣が発足。記者会見する安倍晋三首相=2018年10月2日、首相官邸

 安倍晋三総理の自民党総裁三選が決まり、第4次安倍改造内閣が発足した。今後、速やかに野党が憲法議論をリードしない限り、来年にも安倍総理が「日本国憲法を改正した初めての総理大臣」となる確率が飛躍的に高まってきた。

 えっ?「野党が議論をリードしない限り憲法改正」って、逆さまじゃないの? 議論しちゃうと憲法改正って進むんじゃない? そう思われる向きもあるかもしれない。

 安倍政権はそこまでナイーブではない、というのが今回のお話である。

現実味を帯びる改憲原案の提出

 2017年5月3日の憲法記念日。安倍総理から、憲法を「記念する」言葉ではなく、憲法を「変える」意欲が語られたあの日から、約500日が経過した。この間、一日一日、「安倍改憲」への布石は打たれ続けてきた。そして、いよいよこの秋の臨時国会における改憲原案の提出が、極めて現実味を帯びている。

 憲法改正手続きは、ホップ・ステップ・ジャンプの三段跳びだ。すなわち、
一段目のホップは、国会に対する原案提出、
二段目のステップは、憲法審査会と本会議における国会採決、
三段目のジャンプは、国会採決された改憲案に対する国民投票、
である。

 ホップとステップの間をどれくらい離さなければならないかについては、法律上の定めはない。つまり、国会に原案が提出されてから、国会で採決するまで、国会でどれくらいの時間あるいは期間議論しなければならないか、について決まりはない。ただ、憲法審査会における慎重審議を担保するためのいくつかのルール(注1)が示唆するのは、複数国会での慎重な審議が念頭におかれているということである。

注1
① 憲法改正原案については公聴会を開かなければならない(衆議院憲法審査会規程17Ⅱ)
② 審査省略・中間報告制度は、憲法審査会には適用しない(国会法102の9Ⅰ)
③ 会期不継続の原則は、憲法改正原案については適用しない(国会法102の9Ⅱ)

  一方、ステップとジャンプの間については、明確に法律上の定めがある。つまり、国会で採決された改憲案が国民に発議されてから、実際に国民投票にかけるまで、確保すべき期間は、60日~180日の間と決められている(日本国憲法の改正手続に関する法律第2条)。

もし私が総理の側近だったら……


筆者

山尾志桜里

山尾志桜里(やまお・しおり) 衆院議員

宮城県仙台市生まれ。小6、中1の多感な時期に初代「アニー」を演じる。東京大学法学部卒。司法試験に合格し、検察官として、東京地検、千葉地検、名古屋地検岡崎支部に着任。民主党の候補者公募に合格し、愛知7区から国政に挑戦、2009年に衆議院議員総選挙に初当選。14年に2期目当選。16年3月の民進党結党に際して政務調査会長に就任(~9月)。17年9月に民進党を離党し、同10月に無所属で3期目当選。現在、国民民主党に所属。著書に『立憲的改憲――憲法をリベラルに考える7つの対論』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

山尾志桜里の記事

もっと見る