久保慶明(くぼ・よしあき) 琉球大学人文社会学部准教授(政治学)
1983年、栃木県生まれ。中央大学法学部卒業。筑波大学大学院人文社会科学研究科修了。博士(政治学)。日本学術振興会特別研究員(DC2、PD)、筑波大学人文社会系助教などを経て、現職。専門は、政治過程論、地方自治論、公共政策学。共著に『ローカル・ガバナンス』(木鐸社)、『政治変動期の圧力団体』(有斐閣)など。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
2018年9月30日、第13回となる沖縄県知事選挙(以下、知事選)が執行された。佐喜真淳、玉城デニー、渡口初美、兼島俊の各氏が立候補し、玉城氏が当選した。今回の知事選で示された「民意」はどのようなものだったのか。過去の知事選との比較を中心に読み解いていきたい。
なお、本稿の要旨は沖縄タイムス紙上で既に公表したものであるが、その裏づけとなるデータを本稿では示していく。用いるデータの出所や沖縄県内の市町村地図については本稿の末尾を参照されたい。
当選した玉城氏の得た39万6632票は、1998年に当選した稲嶺惠一氏の37万4883票を超え、過去最多となった。ただし、有権者数、投票者数、期日前投票者数、有効投票数も過去最多となった。つまり、今回は過去最大規模の知事選だった。
選挙当日の有権者数は1972年の第1回以来一貫して増加してきた。2018年は選挙権年齢引き下げの影響もあり、2014年から4万8478人増え、過去最多の114万6815人となった。投票者数72万5254人と有効投票数7万210票も1998年を上回り過去最多となった。
期日前投票者数40万6984人は2014年の約2倍となり、過去最多を記録した。各陣営の呼びかけや台風来襲の影響とみられる。
たとえばTwitter上では、佐喜真氏@AtsushiSakimaが17回、玉城氏@tamakidennyが10回、期日前投票に関してツイートした(リツイートは除く)。さらに玉城氏は台風による期日前投票所の閉鎖状況を3回ツイートした。
投票率は前回から微減の63.24%(有効投票率62.80%)となった。翁長氏の急逝により今回の知事選は沖縄県の「統一地方選」と同月の実施となった。そのため組織的な動員が停滞する可能性があった。また、選挙戦最終盤には台風24号が来襲し、投票所へ行きにくい時間帯がうまれた。こうした事情を考慮すれば、前回から微減にとどまった投票率は低いとは言えない。