政権の責任
このような状況の中、先般、第4次安倍内閣の改造が実行された。2018年10月2日に開催された初閣議後の談話において、安倍首相は「国難とも呼ぶべき少子高齢化に真正面から立ち向かい、一億総活躍の新たな国づくりを推し進め」ることや、「未来を担う子ども達、子育て世代に大胆に投資するとともに、高齢者の皆様がいくつになっても活躍できる社会を実現することで、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を行って」いくと宣言した。

第4次安倍改造内閣が発足し、記者会見する安倍晋三首相=2018年10月2日、首相官邸
同日に閣議決定した基本方針では、「1.復興・国土強靱化の推進」「2.頑張った人が報われる経済成長」「3.全ての世代が安心できる社会保障改革」「4.美しく伝統ある故郷(ふるさと)を守り、次世代へ引き渡す」「5.新しい時代のアジア太平洋の平和と繁栄の礎を築く」という柱を掲げ、全世代型社会保障の実現を目指すことを明らかにした。
高齢世代に偏った社会保障制度を改め、現役世代を含む全世代型の社会保障制度に転換するという方向性は一つの政治的な選択であるが、持続可能な社会保障制度を構築するための安定財源はどうするのか。社会保障費の伸びをどのくらい抑制し、最終的な増税幅をどうするのか。
「国難とも呼ぶべき少子高齢化に真正面から立ち向か」うというのであれば、消費税10%以後を見据えた「中長期的な社会保障の姿」を国民に示すのが政権を担う政治の責任であるはずだ。
社会保障の「綻び」明らかに
では、いまの政治に何が不足しているのか。
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