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米国の圧力をかわしたい中国

「韜光養晦」への回帰?

小原凡司 笹川平和財団上席研究員

見せつけられた格差

拡大米国が制裁をかけ、経営危機に陥った中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)の中国・深圳にあるビル=2018年5月
 米国は、中国に対し、追加関税の他にも経済制裁を課している。米国商務省は2018年4月、北朝鮮などへの禁輸措置に違反したとして、中国通信機器大手であるZTEに対する米製品の販売を7年間、禁じる措置をとったのだ。米国のこの制裁に対して、中国国内では、「傲慢な米国の企業との取引など止めてしまえ」という強硬な論調も見られた。しかし、ZTEは、スマートフォンなどの製造に必要な半導体などの基幹部品が調達できなくなって経営危機に陥り、倒産の危機に追い込まれてしまう。

 米国企業との取引を禁止されただけで中国の大企業が倒産に追い込まれるという事実は、中国国内に大きな衝撃を与えた。米国との経済的および技術的格差を見せつけられたのだ。ZTEは、制裁解除と引き換えに罰金10億ドルを支払ったほか、4億ドルを供託し、さらに経営陣の刷新にも応じた。実際にZTEが倒産してしまっていたら、習近平政権の威信は地に落ちてしまっただろう。しかし、米国は手を緩めた訳ではない。同じく中国通信機器大手の華為技術(HUAWEI)に、米司法省が違法輸出の疑いで捜査を進めている。

習近平総書記の権威低下

拡大東方経済フォーラムの全体会合で講演する中国の習近平国家主席=2018年9月12日、ロシア・ウラジオストク、代表撮影
 米国の経済的・軍事的圧力は、中国が米国に潰されるという中国共産党指導部の危機感を高め、中国国内政治にも影響を与えた。 ・・・ログインして読む
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筆者

小原凡司

小原凡司(おはら・ぼんじ) 笹川平和財団上席研究員

1985年 防衛大学校卒業、1998年 筑波大学大学院(地域研究)修了(修士)。1985年に海上自衛隊入隊後、回転翼操縦士として勤務。2003年~2006年 駐中国防衛駐在官、2006年 防衛省海上幕僚監部情報班長、2009年 第21航空隊司令。2011年 IHS Jane’s アナリスト兼ビジネス・デベロップメント・マネージャーを経て、2013年に東京財団研究員。2017年6月から現職。著書に『中国の軍事戦略』(東洋経済新報社)、『軍事大国・中国の正体』(徳間書店)、『何が戦争を止めるのか』(ディスカバートゥエンティワン)、『曲がり角に立つ中国』(NTT出版)など。