市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員
1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
第2章 ハングルは怖くない 2.漢字1文字の基本は子音+母音
ヨロブン(みなさん)、アンニョン(安寧)ハシムニカ!
前回、とうとうハングルの神髄に突入してしまいましたね。
舌や口の形を考えながらじっと見つめて…1時間で覚えられましたか?
子音とはこう、母音とはこう、という基本を学ぶことは好きですか? 私は嫌いです。仕方なく最低限だけは覚えて先に進んで行きましょう。行き詰まったら、また戻ってくればいいのです。
前回のおさらいというか、子音と母音を掛け合わせた有名な表があります。「反切表」と呼ばれていますが、一度ぐらいは一挙にお見せします。反切とは、元々中国で、一つの漢字の読みを二つの漢字で説明しようとして表した「発音を漢字で表す」中国語ならではの方式を表すことから由来するそうです。
横軸は母音、縦軸は子音です。大きすぎるので2分割します。ドン!!
横が母音21、縦が子音19種類です。この多さが「日本語より複雑?」と薄気味悪がられるゆえんですが、よく見ると、ローマ字のように機械的に掛け合わせただけで、覚える数は日本語の50音と比べても多くありません。まったく使われない組み合わせもあるのです。逆に「たいしたことない」という点を見つけてみましょう。
日本語の場合、50音の形が全部違っています。「あ」「か」「さ」「た」「な」の形は全く違います。一つ一つ覚えなければなりません。でもローマ字で書くと「A」「KA」「SA」「TA」「NA」と、子音は別々でもAの部分が共通しています。
同時に「あ」「い」「う」「え」「お」という縦の列も、ローマ字にすれば「か行(K)」「さ行(S)」…と各行で共通点がありますね。ハングルは、そのローマ字型方式なので、ひらがなの数だけ覚えなければならないといった労力は必要ありません。
例えば「く」だけを見ても「か」行の3番目の文字だとは連想できません。さらにカタカナの「ク」とも似ていません。
それに比べたらどうでしょう。前回紹介したように、母音の「あいうえお」に相当するものと、基本の子音をいくつか覚えれば、何とか発音できるし、見て分かるようになるのです。
反切表の中で、これまで出てこなかった、見慣れない「ㅘ」「ㅢ」のような母音は「二重母音」と言います。
「ㅘ」は「ㅗ」+「 ㅏ」と思ってください。続けて読んで「オ(ウ)ァ」という感じです。「ㅢ」は「 ㅡ」+「 ㅣ」。「ウィ」という感じですね。
ですから、子音の時も説明しましたが、基本のタテヨコの棒をつなげたものなので、覚える時も省エネでいきましょう。