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29時間で身につく「にわか韓国語講座」(6)

第2章 ハングルは怖くない 2.漢字1文字の基本は子音+母音

市川速水 朝日新聞編集委員

ハングルはアートやパズルにもなる(2016年10月、東京・新宿で開かれたデザイン展より)
 ヨロブン(みなさん)、アンニョン(安寧)ハシムニカ!

 前回、とうとうハングルの神髄に突入してしまいましたね。

 舌や口の形を考えながらじっと見つめて…1時間で覚えられましたか?

 子音とはこう、母音とはこう、という基本を学ぶことは好きですか? 私は嫌いです。仕方なく最低限だけは覚えて先に進んで行きましょう。行き詰まったら、また戻ってくればいいのです。

「反切表」を一挙公開!

 前回のおさらいというか、子音と母音を掛け合わせた有名な表があります。「反切表」と呼ばれていますが、一度ぐらいは一挙にお見せします。反切とは、元々中国で、一つの漢字の読みを二つの漢字で説明しようとして表した「発音を漢字で表す」中国語ならではの方式を表すことから由来するそうです。

 横軸は母音、縦軸は子音です。大きすぎるので2分割します。ドン!!

 横が母音21、縦が子音19種類です。この多さが「日本語より複雑?」と薄気味悪がられるゆえんですが、よく見ると、ローマ字のように機械的に掛け合わせただけで、覚える数は日本語の50音と比べても多くありません。まったく使われない組み合わせもあるのです。逆に「たいしたことない」という点を見つけてみましょう。

 日本語の場合、50音の形が全部違っています。「あ」「か」「さ」「た」「な」の形は全く違います。一つ一つ覚えなければなりません。でもローマ字で書くと「A」「KA」「SA」「TA」「NA」と、子音は別々でもAの部分が共通しています。

 同時に「あ」「い」「う」「え」「お」という縦の列も、ローマ字にすれば「か行(K)」「さ行(S)」…と各行で共通点がありますね。ハングルは、そのローマ字型方式なので、ひらがなの数だけ覚えなければならないといった労力は必要ありません。

 例えば「く」だけを見ても「か」行の3番目の文字だとは連想できません。さらにカタカナの「ク」とも似ていません。

 それに比べたらどうでしょう。前回紹介したように、母音の「あいうえお」に相当するものと、基本の子音をいくつか覚えれば、何とか発音できるし、見て分かるようになるのです。

 反切表の中で、これまで出てこなかった、見慣れない「ㅘ」「ㅢ」のような母音は「二重母音」と言います。

 「ㅘ」は「ㅗ」+「 ㅏ」と思ってください。続けて読んで「オ(ウ)ァ」という感じです。「ㅢ」は「 ㅡ」+「 ㅣ」。「ウィ」という感じですね。

 ですから、子音の時も説明しましたが、基本のタテヨコの棒をつなげたものなので、覚える時も省エネでいきましょう。

子音+母音=1音、子音+母音+パッチム=2音

 さて、いよいよ「ハングルの構造」つまり「漢字語の世界」へ踏み出しましょう。

 いったん、複雑な反切表のことは忘れてください。ここからは、漢字からハングルへと逆算して考えていきます。

 日本語で漢字の音読みというのは、よくよく考えてみると、1音か2音なのですね。

 1音の場合、例えば「ア(阿、亜など)」「リ(理、里など)」「カ(過、果など)」を思い浮かべてください。

 また、2音の場合、「ハン(反、半、範など)」、「リョウ(両、料、量など)」と、いくらでも思いつくでしょう。ここではリョは一息ですので1音扱い、リョウで2音扱いです。3音以上はありますか? 見当たらないですよね。とりあえず音読みでは、「ない」ということにしましょう。

 では次にハングルの構造です。反切表に載っているのは「子音+母音」という二つの部品でできているパターンですが、実際の文字を見ると、下に「パッチム」「終声」と呼ばれる、別の子音が付いていることがあります。

 結論を言えば、以下のような法則めいたものがあるのです。

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