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「安倍改憲」の本当の問題とは

安倍改憲は阻止したいけど立憲的改憲論には批判的な人たちへ(下)

倉持麟太郎 弁護士(弁護士法人Next代表)

自民党の憲法改正推進本部の会合であいさつする細田博之本部長(中央)=2018年3月22日、東京・永田町拡大自民党の憲法改正推進本部の会合であいさつする細田博之本部長(中央)=2018年3月22日、東京・永田町

キーワードは「必要な自衛の措置」

 「立憲的改憲論に批判的な人たちへ」「リベラル再生宣言」で、立憲的改憲論のコンセプトやそれへの批判的言説について論じた。「安倍改憲は阻止したいけど立憲的改憲論には批判的な人たちへ」の最終回では、立憲的改憲論の一番の標的である「安倍改憲」の問題点について、あらためて整理する。

 今年の3月22日、自民党憲法改正推進本部長細田博之会長(当時)一任というかたちで、自民党の憲法改正案の素案がまとめられた。それによれば、9条の条文案は以下である。

第9条の2
我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを目的として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
②自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

 この、自民党改憲案の「キモ」は、「自衛隊を書くだけで何も変わらない」と言いながら、そうはなっていない点である。すなわち、この案では、「必要な自衛の措置」をとることができる自衛隊の保持を認めているが、“自衛隊に何ができるか”は書いていない。そのため、自民党案における自衛隊は、憲法上、無制約である。

 これを読み解くキーワードが、太字で記した「必要な自衛の措置」である。このワードは、戦後リーガルタームとして、「ある場面」で用いられてきた歴史がある。それは、どんな場面で、そしてどんな歴史なのだろうか。簡単に論じたい。


筆者

倉持麟太郎

倉持麟太郎(くらもち・りんたろう) 弁護士(弁護士法人Next代表)

1983年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。日本弁護士連合会憲法問題対策本部幹事、弁護士法人Next代表弁護士、慶応グローバルリサーチインスティチュート(KGRI)所員。ベンチャー支援、一般企業法務、「働き方」などについて専門的に取り扱う一方で、TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」レギュラーコメンテーター、衆議院平和安全法制特別委員会公聴会で参考人として意見陳述、World Forum for Democracyにスピーカー参加、米国務省International Visitor Leadership Programに招聘、朝日新聞『論座』レギュラー執筆者、慶應義塾大学法科大学院非常勤講師(憲法)など多方面で活動。共著に『2015年安保 国会の内と外で』(岩波書店)、『時代の正体 Vol.2』(現代思潮新社)、『ゴー宣〈憲法〉道場』(毎日新聞出版)、著書に『リベラルの敵はリベラルにあり』(ちくま新書)がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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