メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

[106]あきれたもんだぜ、加計理事長会見

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

獣医学部新設に関する記者の質問を聞く加計理事長=2018年10月7日午後、愛媛県今治市岡山理大獣医学部新設に関して記者会見を開いた加計孝太郎・加計学園理事長=2018年10月7日、愛媛県今治市

10月2日(火) 午前中「報道特集」の定例会議。異動したKディレクターの後任の2人のディレクターが初参加していた。午後、大竹昭子さんが激賞していた美術作家・佐藤貢氏の個展を神田神保町のボヘミアン・ギャラリーでみる。想像を絶する独創的な作品群で、漂流物のオブジェの造形というか、そこに何か地球の時間が宿っているような感覚に襲われる。作者自身が漂流物にでもならなければ、このような不可思議な郷愁を起こさせ、しかも何百年も前からの既視感があるような造形はできないのかもしれない。面白いわ。会場のカウンターに、探しもとめていたこの美術作家・佐藤貢氏の本『旅行記』の前・後編が積まれて置いてあったので、即座に購入した。

 沖縄で失くしてしまった取材ノートが、那覇の酒場Hにあったことが判明。電話で問い合わせたら「ありましたよ」と女将に言われる。とにかくよかったわ。

 第4次安倍内閣の組閣。全く新鮮味なし。きのうまでの事前情報で骨格がほとんど出ていたことに加え、総裁選の論功行賞、在庫一掃、お友達復権などと、組閣と党役員人事の評価は散々だ。「全員野球内閣」とか自称して、このままやりすごさせていればいいのか。何かが確実にダメになっていっていることへの危機感の風化の方が深刻。

 ノーベル賞医学・生理学賞に京都大学の本庶佑・特別教授(76)。テレビは大騒ぎになっている。本庶氏は、免疫学の世界的権威だという。その研究は、免疫の役割を応用した新しいがん治療薬として注目されている「オプジーボ」の開発に資したことで知られているのだそうだ。

 夜、新宿E。舞踏家の岩名雅記氏。TBSの久米宏の同期だったとは。今、映画を構想中だという。

「デニってる」若者との不思議な縁

10月3日(水) 朝8時30分発の便で再び沖縄へ。4日の玉城デニー知事就任を取材するため。それで、またぞろ台風だ。本当にこの人は文字通り「嵐を呼ぶ男」かなあ。就任式当日がどうやら台風25号が沖縄本島に最接近するようなのだ。沖縄国際大学の照屋寛之教授に若い世代の有権者の動きについてインタビュー。沖国大の学生さんにもキャンパスで話を聞く。当たり前だがさまざまな意見があった。

 19時から玉城デニー候補を応援していた「勝手連」的な若者グループの取材。当選の瞬間、デ二Tを着ていて、デニー候補とカチャーシーを乱舞していた、あの「デニってる」連中だ。本当に元気がよく魅力的な運動のスタイルを作り出していた。リーダー格の徳森りまさんは、面識がなかった人なのだが、翁長雄志前知事が死去した夜、病院から車でなきがらが運び出された時に、「知事、ありがとうございました!」と路上から叫んでいた女性だった。たまたまその時に取材していた僕が彼女を呼び止めてインタビューをしたら上空をオスプレイが飛来したので強烈に記憶に残っていた。その女性が徳森さんだったのだ。夜の10時半頃のことだった。不思議な縁というものがある。

 毎日新聞のコラム原稿。夜、那覇の酒場Hで、失くした取材ノートを回収。ヒージャー(山羊)を食らう。台風がもろ近づいてきている。

10月4日(木) 朝、10時過ぎデニー新知事が県庁に初登庁する。お出迎えの県職員に加え、一般市民も県庁ロビーに大勢詰めかけていた。昨夜話を聞いたばかりの「デニってる」若者メンバーらもいた。みると、お出迎えの県職員の場所にも序列みたいなものがあるらしく、正面玄関に近い方に局長クラスの幹部が最前列に並んでいた。10時15分すぎ、デニー知事が登庁すると一斉に拍手が巻き起こった。デニー氏は破顔の笑顔。花束を受け取って、当選証書付与式、知事室入室、事務引き継ぎ等の「儀式」。台風がもろにやって来て、台風対策本部会議の招集が実質的な初仕事に。県職員は台風対策人員をのぞいて午後3時以降、職務停止になって全員帰宅。それで予定されていた県職員への訓示も中止。

 午後1時45分からの初記者会見のあと、デニー知事に単独インタビューで話をきいた。

・・・ログインして読む
(残り:約2891文字/本文:約4614文字)