第2章 ハングルは怖くない 4.日本語をハングルで書いてみる
2018年11月03日
なんと、先週までにハングルを一気におさらいしてしまいました。「にわかん」ならではのにわかぶり、一夜漬けぶりです。もう東京駅の看板も読めるし、ソウルの市場に行っても、店の名前がざっと分かるようになったはず…。
って、そんなわけないですよね。いきなりは。ただ、じっと見つめて、口や舌の形を連想して。日本の駅や道案内板の場合は正解がすぐ上に日本語で書いてあるわけですから、格好の練習場です。後は実践あるのみです。
ハングルの読み(あえて正しい発音とは言いません)をマスターするひとつの近道は、ハングルを一生懸命読もうとすることでなく、逆方向で、日本語をハングルに置き換えることだと思います。発音の似た部分、違う部分もいっぺんに見えてきます。駅のハングルの看板も、同じ理屈で日本語からどんどんハングル化しています。
まず、自分や友人の名前、固有名詞をハングルにしてみましょう。
私の場合、「いちかわ・はやみ」は이치카와 하야미です。子音が5種類、母音が4種類出てきますね。二重母音も含まれています。これをしつこく分析してみましょう。
なぜ치、카といった「激音」が出てくるのでしょうか。仮に 이지가와と書くと、韓国読みの、「無声音は文頭でなく語中にある場合は濁る」という法則(有声音化といいます)で「いぢがわ」になってしまうからです。だから치や카を使います。その結果、反作用もあって、若干ですが、「いっちっかわ」と聞こえます。
「はやみ」は普通にいけますね。ただ、別の回で触れますが、「h」は全部弱めに発音されますので、「あやみ」と聞こえる時もあります。
では、友人の石塚さん。「いしづか」と濁る音はどうでしょう。「いしつか」とも「いしつが」ともならないように工夫しましょう。이시즈카となります。イシジュカっぽく聞こえる時もあります。
日本語の「50音順」は以下のようになります。「ちゃ」や「みゃ」「にょ」などほかの音もありますが、割愛します。この表が分かれば、自然に浮かんでくると思いますので、基本形の表は小さい方がいいかと。
ここで立ち止まって考えてみましょう。
「か行」や「た行」に、なぜ2種類の表記法があるのでしょう。先ほどの「有声音化」で説明済みなので、おわかりですね。「たなか」のように「た」が文頭にある時には「다나카」。「あきた」のように「た」が文頭以外にくる時は「아키타」となるわけです。たなか、あきたの両方とも、ヒゲ付きの激音が「か」と「き」「た」に対応していますね。これは、「たなが」「あぎだ」と読まれないようにするためです。なので、元の発音が濁るか濁らないかによって使い分けるということですね。
私の友人に「山口」と書いて「やまくち」と発音する人がいます。世の中に多い方の「やまぐち」さんは「야마구치」ですが、「やまくち」さんの場合は「야마쿠치」となります。
では、健治(けんじ)さんのような「ん」はどう表記するかといえば、パッチム「ㄴ」を使います。겐지、ですね。
この写真をちょっと見てください。10年前、大阪・道頓堀で撮影されたスナップ写真です。たこ焼き屋さんが韓国語と中国語で「おいしいよ!」と客にアピールしている看板(ポップ)です。
どうも、先ほどの「アイウエオ表」とは違っていますね。「たこやき おおさかで いちばん おいしいところ」と書いているつもりなのだと思いますが、ちょっと微妙…。
でも、一生懸命さが表れています。分かります。通じりゃいいんです。
「にわかん」的にはOKです! ありです。
上の表の50音を一つ一つ発音してみると「似てるけど、違うんだよな」という音がいくつかあります。例えば「ざ」。このハングルだと「チャ」「ジャ」に近くなります。「つ」も「ス」「ズ」に近い発音になります。
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