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中国のアフリカ進出は新たなステージへ

明確になった世界戦略におけるアフリカの位置付け

六辻彰二 国際政治学者

 中国にとってアフリカは重要な「足場」であり、米中の覇権闘争が激化するなか、そのアフリカ進出は世界のバランスにも大きくかかわる。習近平国家主席は9月2日、北京にアフリカ諸国首脳を招いた第7回中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)で、アフリカからの要望や批判に譲歩する姿勢をみせる一方、中国の世界戦略に占めるアフリカの位置付けを明確にした。これにより、中国のアフリカ進出は新たなステージに入ったといえる。

何が変わったか

拡大中国アフリカ協力フォーラムを終えて、記者会見する中国の習近平国家主席=9月4日
 1990年代の半ば以来、中国はアフリカ進出を加速させており、2000年から定期的に開催されるFOCACは、その時々の中国首脳にとって、アフリカ政策を内外に表明する機会にもなってきた。この観点から第7回FOCACでの習近平国家主席による基調演説をみれば、従来の方針からのいくつかの変化をうかがえる。

 以下では主に3点に絞ってみていこう。

 第一に、「一帯一路」構想とアフリカ進出の連動が正式に打ち出されたことだ。

 ユーラシア大陸をカバーする経済圏「一帯一路」構想は2014年に発表され、もともと東アフリカ一帯もその圏内に位置づけられていたが、2015年の第6回FOCACでの基調演説で習氏は一度もこれに言及しなかった。これと対照的に、第7回FOCACでは「一帯一路」の用語が、しかも東アフリカに限定しない形で、4回用いられた。これは中国主導の経済圏にアフリカを組み込む意志を、公式に内外に打ち出したものといえる。

 強権化する習近平体制は国内企業による投資対象の選別への干渉も強めているため、習氏の「お墨付き」が出たことで、中国企業のアフリカ進出がさらに促されると予想される。

 この兆候は、資金協力の変化にもみてとれる。第7回FOCACで習氏は3年間で600億ドルの融資などを提供すると約束したが、その金額は2015年の第6回FOCACで提示されたものと変わらない。ただし、それまで右肩上がりで伸び続けていた資金協力の総額が頭打ちになった一方で、第7回FOCACではアジア・インフラ投資銀行やシルクロード基金など、「一帯一路」構想を推し進めるために中国が設立した金融機関を柔軟に運用するとも強調された。

 2000年代以来、中国はアフリカで橋や道路などの建設を進めており、最近では2017年1月に内陸国エチオピアと紅海に面したジブチを結ぶアディスアベバ―ジブチ鉄道を開通させた。これまで基本的に別々に進められてきた「一帯一路」構想とアフリカ進出が正式に結びつけられたことで、中国主導のサプライ・チェーンにアフリカを巻き込むため、こうした国際的な輸送網の整備はさらに加速するとみられる。

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筆者

六辻彰二

六辻彰二(むつじ・しょうじ) 国際政治学者

1972年生まれ。博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。アフリカを中心に世界情勢を幅広く研究。著書に『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、共著に『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)など。その他、論文多数。Yahoo! ニュース「個人」オーサー、NEWSWEEK日本版コラムニスト。

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