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中国のアフリカ進出は新たなステージへ

明確になった世界戦略におけるアフリカの位置付け

六辻彰二 国際政治学者

「アフリカ産品の輸入を増やす」の意図

 第二に、「中国がアフリカから輸入を増やすこと」が強調されたことだ。

 従来、中国は「アフリカとの貿易の活発化」を一貫して主張してきただけでなく、2006年の第3回FOCAC以来、アフリカ産品の無関税輸入の対象を段階的に増やしてきた。しかし、FOCACの基調演説で中国首脳がアフリカから輸入を増やす意志を表明することは、これまでなかったことだ。

 今回、習氏がこれをあえて明言したことは、アフリカ諸国に中国との関係への利益を見出させるための方策といえる。

 アフリカでは欧米諸国への歴史的な反感の裏返しとして中国の進出を受け入れる土壌があるものの、歓迎一色でもない。その一つの理由は、無関税輸入が導入されているとはいえ、中国のアフリカからの輸入額の約80パーセントを石油・天然ガスなどの資源が占めており、ほとんどのアフリカ諸国が中国との貿易で大幅な輸入超過に陥っていることだ。

 つまり、FOCAC基調演説でわざわざ「アフリカからの輸入の増加」が取り上げられたことは、「一帯一路」構想にアフリカを組み込むことに関連して、中国が「アフリカに利益をもたらす、責任ある大国」として振る舞う政治的意志を示したといえる。

 習氏は基調演説で「中国は…保護主義と一国主義を拒絶する」とも述べている。トランプ政権が保護主義の色彩を強め、アフリカでもアメリカとの貿易に警戒感が高まっているタイミングで、アフリカ産品の輸入増加を明言することは、アフリカ各国を中国に向かわせやすくする。

安全保障協力の本格化

 第三に、安全保障に関する協力を増やすことだ。

 第7回FOCACの基調演説で習氏は、安全保障に関して13回言及した。2006年と2012年に胡錦濤国家主席(当時)は、それぞれ3回安全保障について触れたが、これが歴代の中国首脳の基調演説で最多だったことを考えると、習近平体制がいかにこの分野を重視しているかが分かる。

 南シナ海の領土問題など、海外における中国の軍事展開は西側諸国で関心がもたれやすいが、 ・・・ログインして読む
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筆者

六辻彰二

六辻彰二(むつじ・しょうじ) 国際政治学者

1972年生まれ。博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。アフリカを中心に世界情勢を幅広く研究。著書に『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、共著に『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)など。その他、論文多数。Yahoo! ニュース「個人」オーサー、NEWSWEEK日本版コラムニスト。

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