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サウジ記者殺害事件を理解したいあなたへ(後編)

サウジとの違いをアピールするトルコもメディアへの弾圧を続けている

岩城あすか 箕面市立多文化交流センター 館長

沈黙するイランが最も得をしている

 アメリカのトランプ大統領は「イラン」の封じ込めをめざし、2018年5月に「核合意」を離脱、イランへの「最高水準の経済制裁」を復活させると宣言した。

 既に8月から、イランの米ドルの購入や取得、金などの貴金属、鉄鋼、アルミニウム、石炭などの取り引き、旅客機およびその部品の輸入を阻止する制裁が始まっている。この制裁で、外国企業がイランの自動車部門に関わることも阻止された。

 第2段階の制裁としては、2018年11月からイランに対し、石油の禁輸制裁を科すという。ただし、イラン核合意からアメリカが離脱しただけで、合意そのものは存続している。禁輸制裁に対し、ロシアやトルコは取引を続行する意思を表明している。

 石油価格の高騰を避けるため、トランプ大統領は、サウジのムハンマド皇太子に原油の供給量を増やすよう要請。これを受けて9月30日にムハンマド皇太子はクウェートを訪問し、両国が共同で管理しつつも、サウジ側の都合で3年以上前から供給を停止していたカフジ、ワフラ両油田の生産を再開するよう求めた。しかし、クウェート側からは技術的な問題と、これまでに被った損害の賠償を要求され、交渉は物別れに終わったという。

 サウジはこのような状況の中、ジェマル氏の殺害事件でさらに追い詰められた。原油安から財政破綻のリスクをかかえる中で、中東における存在力が確実に弱まってきている。

 いっぽう、ロシア、イラン、トルコは10月24日、モスクワで副外相レベルの会談を開き、国連シリア特使と連携して、シリアで憲法委員会の設立に向けた取り組みを迅速化することで合意した。今回の騒動で、一言も声を発していないイランが、結果的に最も恩恵を被っている状況がうかがえる。

拡大ロシアの通信社スプートニク(トルコ語版)のウェブサイトより、2018年5月10日付の一コマ漫画。「イラン合意」と書かれた机をトランプ大統領が蹴り倒している

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筆者

岩城あすか

岩城あすか(いわき・あすか) 箕面市立多文化交流センター 館長

大阪外国語大学でトルコ語を学んだ後、トルコ共和国イスタンブール大学(院)で学ぶため、1997年~2001年イスタンブールで過ごす。通訳やマスコミのコーディネーターをしながら、1999年におきた「トルコ北西部地震」の復興支援事業にもボランティアとして関わる。現在は(公財)箕面市国際交流協会で地域の国際化を促す様々な事業に取り組むほか、重度の障碍者のみで構成される劇団「態変」の発行する情報誌「イマージュ」の編集にも携わっている。

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