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険悪化する米中関係 どうする日本?

安倍訪中で関係改善に踏み出した日本にとって悩ましいアメリカの対中政策の現状

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

決定的なペンス副大統領の演説

 トランプ政権の対中強硬姿勢は、政権トップであるトランプ氏のときに即興的・感情的とも言える言動に基づいているのではない。米政府という国家として確固たる意思による、一貫性をもった政策と言える。

 トランプ政権の中国との対決姿勢を国内外に決定的に印象づけたのが、10月4日に米保守系シンクタンク・ハドソン研究所で行われたペンス副大統領の演説だ。米政府関係者によると、この演説は、タカ派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)やミラ・リカーデル大統領次席補佐官が中心になって作成されたという。リカーデル氏はワシントン政界でマティス国防長官との不仲説が根強く語られている高官である。

 ペンス演説を要約すれば以下の通りである。

  前政権(胡錦濤政権)には、中国で経済的、政治的自由が広まるという希望があった。しかし、その希望は叶(かな)えられずについえてしまった。
  中国共産党は、不公平な貿易、為替操作、強制的な技術移転、知的財産の侵害を行っている。最悪なのが、中国の治安当局がアメリカの最新の軍事計画を含む科学技術を盗用する首謀者であるという点である。
  中国はアメリカを西太平洋から追い出そうとしている。中国艦船は尖閣諸島周辺をパトロールし、南シナ海の人工島では軍事拠点化を進めている。中国軍艦船は9月末、南シナ海で米駆逐艦から45ヤード以内の距離まで接近させるという向こう見ずな嫌がらせをした。
  中国は同国内でキリスト教徒、仏教徒、イスラム教徒を弾圧している。中国・新疆ウイグル自治区では、百万人のウイグル族を収容所に入れ、24時間体制で洗脳している。
  中国はアジア、アフリカ、欧州、ラテンアメリカ諸国に対し、巨額のインフラを提供する代わりに対中債務を負わせる「借金漬け外交」を展開し、影響力の拡大を図っている。
  中国は米中間選挙に影響力を行使しようとしており、中国がアメリカの民主主義に干渉しているのは疑いようがない。中国の宣伝工作活動は、米国の企業、映画業界、シンクタンク、学識経験者、ジャーナリスト、公的機関職員に対して行われている。

外交・安保専門家で語られる「新冷戦」の懸念

ペンス米副大統領拡大ペンス米副大統領

 ペンス演説の特徴は、アメリカにとっての中国の経済的、軍事的な脅威はもとより、中国国内の人権弾圧、途上国などに対する中国の対外戦略、アメリカ国内での宣伝工作活動など幅広い分野の問題を包括的に論じているという点にある。

 ハドソン研究所の長尾賢・客員研究員は、「極めてよく準備された演説であり、米国の長期戦略を描いている。米国は中国を競争相手だと明確に宣言した」と指摘する。長尾氏はまた、今回の演説はとくに「米国人向け」と分析。「ペンス副大統領が米国人に対し、『あなた方は中国から攻撃されている。忘れてはいけない』というメッセージを発した」とみている。

 ペンス演説後、ワシントンの外交・安保専門家の間では「新冷戦」という言葉が警戒心をもって語られるようになっている。

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筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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