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安田純平さんが非難される点は何もない

川上泰徳 中東ジャーナリスト

組織ジャーナリストとフリーランスの違い

 政府から研究費の補助を受けている研究機関や研究プロジェクトに参加している地域研究者は、国が退避勧告を出した地域に入ることは原則としてはできない。日本の報道機関でも、退避勧告が出された国・地域には取材記者を一切入れないという組織メディアがある。私自身は朝日新聞の中東専門記者をしていたが、退避勧告地域の中でもさらに危険を伴う場所での取材を何度もした。

 ▽2003年11月に日本人外交官が乗った自動車が襲撃されて外交官2人が殺害されたイラク北部の事件現場▽2004年5月に米軍の包囲攻撃を受けたイラクのファルージャ▽2006年に自衛隊が撤退した後の検証取材を行ったイラク南部のサマワ▽2014年6月に「イスラム国(IS)」がモスルを陥落させた後のバグダッドなどである。

 いずれも、「連載 中東取材20年:戦争、革命、「イスラム国」へ」でそれぞれの取材経験を掲載している。

 新聞社での紛争地取材は私自身が現地入りの希望を出して、会社が認めるという形だった。明確な規定が社内にあったわけではなかったが、私の理解では、紛争地の中でも危険を伴う取材については、新聞社が業務として一方的に記者に命じることはなく、記者の発意を受けて取材の必要性や安全対策などを新聞社が検討し、もし、新聞社が記者の現場入りを認めたら、事故があった場合の責任は会社がとるということである。

 2012年末に私はシリア北部アレッポの反体制地域への取材を発意したことがある。現地での受け入れ先や同行する現地のジャーナリストなどを書いた取材計画を出した

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筆者

川上泰徳

川上泰徳(かわかみ・やすのり) 中東ジャーナリスト

長崎県生まれ。1981年、朝日新聞入社。学芸部を経て、エルサレム支局長、中東アフリカ総局長、編集委員、論説委員、機動特派員などを歴任。2014年秋、2度目の中東アフリカ総局長を終え、2015年1月に退職し、フリーのジャーナリストに。元Asahi中東マガジン編集人。2002年、中東報道でボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『シャティーラの記憶――パレスチナ難民キャンプの70年』(岩波書店)、『イラク零年――朝日新聞特派員の報告』(朝日新聞社)、『現地発 エジプト革命――中東民主化のゆくえ』(岩波ブックレット)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店)、『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版)、『「イスラム国」はテロの元凶ではない――グローバル・ジハードという幻想』(集英社新書)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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