第3章 漢字語読みの「密かな法則」
2018年11月10日
第3章 漢字語読みの「密かな法則」
1.音読み1音、韓国語も1音 2.日韓で酷似した言葉の特徴
1回1時間程度、30回弱の予定で進めてきた「にわかん」も、3分の1ぐらいまでさしかかりました。勉強はなるべく少なめに。1時間かけて学んだら1週間は半ば忘れて記憶に残るものだけは覚えて、次の1時間へ、というスタイルでやってきました。いかがですか?
第1週からずっと付きあっていただいている女性から感想をいただきました。「気軽に学ぼうという雰囲気はいいけど、本当に韓国語が上手になるのか、時折ひどく不安になる」と。
う~ん。厳しいご指摘です。不安を与えてはいけませんよね。おそらく、語学の教科書のように、教室や買い物の「場面」を丸ごと覚えたり、先生と生徒の問答を繰り返し復唱したりするお決まりのフレーズが足りないからなのでしょうね。
フレーズの真似はしないで理屈で覚える、法則で覚える、日本語から覚えるという一見、反則のような学習法ですが、なるべく不安は持たれないように努力します! いずれ全体像が見えてきますので、もう少しご辛抱ください。
テレビで韓国大統領の演説など「硬派」な言葉を聴いていると、突然「道理」(ドリ)とか「民主主義」(ミンジュジュイ)とか、そっくりな響きの言葉に遭遇することがありますね。人気グループ「東方神起」も「トン・バン・シン・ギ」と、「方」以外は響きが酷似していますし。なぜ似ているのでしょうか、どんな字が似るのでしょうか、法則があるのかないのか、長い間、ずっと考えていました。
一つひとつの漢字を見ながら、ある程度の法則と傾向を見つけました。それを紹介していくのが今週の狙いです。
日本の漢字の「音読み」は、中国の漢字の呉音から来た場合、漢音などそれ以外の時期に入って来た言葉など、仏教の伝来の波ごとに大きな役割を果たし、様々な読みが限られた漢字に重なって何通りも読み方が生まれたと言われています。ただ、私は語学の専門家ではないので、詳しくは学者のみなさんに任せます。研究が進めば、いつか明快に日本語のルーツが解明できるでしょう。日本語と韓国語、中国語の歴史的な関係もずばりと分かったらきっと楽しそうです。日本語がどこから来たのか? というロマンに応える研究は、まだ途上のようですが。
まず、単純な法則からです。「日本語で読みが1音の場合、韓国語の発音も同じ読みが多い」というものです。あいうえお順に並べてみましょう。よく使う語でも例外がありますので、「*」で横に書いておきます。
「ア」=아 亜 啞 「イ」=이 以 異 移
「ウ」=우 宇 「カ」=가 加 可 暇
「キ」=기 気 機 記 起 寄 *季=계(ケ) 貴=귀(クィ)
「ク」=구 九 区 *苦=고(コ)
「コ」=고 故 固 孤
「サ」=사 砂 *左=좌(チャ)
「シ」=시 市 *史=사(サ) 「セ」=세 世
「ソ」=소 訴 素 「タ」=다 多 「タ」=타 打 他
「チ」=지 知 地 遅 「チ」=치 致
「ト」=도 途 都 徒 図 「ト」=토 土
*ナ行、ハ行はよく使う字がありません。ハ行は後述しますが、韓国語で「パ行」に変わることが多いので割愛します。
「マ」=마 馬 魔
「ミ」=미 味 美 未 「ム」=무 無 務
「モ」=모 模 「ヤ」=야 野 「ヨ」=여 与
「リ」=리 里 璃 離 利 理
*「ラ行」は「分離」のように冒頭でない時は「리」ですが「離婚」のように冒頭に来る時は頭音が「ㅇ」に変わる法則により「이」に変化します。
「ロ」=로 路
*「ワ」は韓国語ではもともと「ウヮ와」と表記して同じ発音がありませんが、「和」や「話」は「ファ화」と発音し、近い響きです。
さて、今度は2字熟語で日本語の音読みと韓国語に近いものを探してみます。
まず、ほぼ同じに聞こえるものです。カタカナの発音表記は、本来の「やくそくごと」に合わせてより正確に書いてみました。
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