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中島岳志の「自民党を読む」(3)安倍晋三

保守への思想的関心よりも、アンチ・リベラルの思いが先行している政治家

中島岳志 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

拡大官邸に入る安倍晋三首相=2018年10月30日

著書の少ない総理大臣

 史上最長の首相在位期間が射程に入ってきた安倍晋三総理大臣。肯定的な評価と否定的な評価に真っ二つに分かれる人物ですが、どのようなヴィジョンや政策、特徴をもった政治家なのか、私たちははっきりとつかみ切れていないのではないでしょうか。

 連載の第3回は、いよいよ現役総理に迫ります。いつものように著書をじっくり読むことで検証してみたいと思います。

 安倍さんが著者として出している書籍は、共著を含めると基本的に以下の7冊です。

① 『「保守革命」宣言-アンチ・リベラルの選択』(栗本慎一郎、衛藤晟一との共著) 現代書林、1996年10月
② 『この国を守る決意』(岡崎久彦との共著) 扶桑社、2004年1月
③ 『安倍晋三対論集 日本を語る』 PHP研究所、2006年4月
④ 『美しい国へ』 文春新書、2006年7月
⑤ 『新しい国へ-美しい国へ・完全版』 文春新書、2013年1月
⑥ 『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』(百田尚樹との共著) ワック、2013年12月
⑦ 『日本の決意』 新潮社、2014年4月

 このうち実質的な単著は④の1冊です。⑤はその増補版。①は共著。②③⑥は対談本。⑦は総理大臣としてのスピーチ集なので、必ずしも本人が書いた原稿ではないでしょう。

 石破茂さん(連載第1回)や野田聖子さん(連載第2回)に比べて、安倍さんは著書の少ない政治家であり、その著書も第一次安倍内閣以前に出版されたものが大半です。かつ、主著である④も、過去の本などからのコピペに近い部分が散見されます。

 そのため、ここでは比較的若い時期に、率直な意見を述べている①②を中心に見ていくことで、安倍晋三という政治家の「地金」の部分を明らかにしたいと思います。

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筆者

中島岳志

中島岳志(なかじま・たけし) 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学でヒンディー語を専攻。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科でインド政治を研究し、2002年に『ヒンドゥー・ナショナリズム』(中公新書ラクレ)を出版。また、近代における日本とアジアの関わりを研究し、2005年『中村屋のボース』(白水社)を出版。大仏次郎論壇賞、アジア太平洋賞大賞を受賞する。学術博士(地域研究)。著書に『ナショナリズムと宗教』(春風社)、『パール判事』(白水社)、『秋葉原事件』(朝日新聞出版)、『「リベラル保守」宣言』(新潮社)、『血盟団事件』(文藝春秋)、『岩波茂雄』(岩波書店)、『アジア主義』(潮出版)、『下中彌三郎』(平凡社)、『親鸞と日本主義』(新潮選書)、『保守と立憲』(スタンドブックス)、『超国家主義』(筑摩書房)などがある。北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現在、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。

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