メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

そして安田純平さんは謝った

誰に対し何を謝ったのか。それはこの国で生きていくための、やむを得ない護身策だった

石川智也 朝日新聞記者

「自分が当事者になることなんて、だれも考えていない」

 「世間」には主体がない。ゆえに決して責任をとらない。記憶し続けなければならぬ歴史も熱狂した事件もすぐに健忘し、個人が忘れ葬りたいことはしつこく掘り起こし思い出させる(バラエティ番組や週刊誌の「あの人はいま」特集の下世話さ!)。地縁血縁が希薄化した現代、こうした共同体的心性をせっせと補強しているのが日本のメディアだ。というより、日本のメディアこそいまや「世間」に他ならない。

 安田さんの帰国4日後の10月29日、樹木希林さんを起用した宝島社の新聞見開き全面広告が大きな話題になったが、そこに載った樹木さんの言葉にハッとさせられた人も多かったのではないか。

「いまの世の中って、ひとつ問題が起きると、みんなで徹底的にやっつけるじゃない。だから怖いの。自分が当事者になることなんて、だれも考えていないんでしょうね」

 多くの人が、自分でなくて良かった、と安堵しながら、

・・・ログインして読む
(残り:約1593文字/本文:約4869文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


関連記事

筆者

石川智也

石川智也(いしかわ・ともや) 朝日新聞記者

1998年、朝日新聞社入社。社会部でメディアや教育、原発など担当した後、特別報道部を経て2021年4月からオピニオン編集部記者、論座編集部員。慶応義塾大学SFC研究所上席所員を経て明治大学ソーシャル・コミュニケーション研究所客員研究員。著書に『さよなら朝日』(柏書房)、共著に『それでも日本人は原発を選んだ』(朝日新聞出版)、『住民投票の総て』(「国民投票/住民投票」情報室)等。ツイッターは@Ishikawa_Tomoya

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

石川智也の記事

もっと見る