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田中均氏が語るポピュリズム脱却論

ポピュリズムと専制政治が横行する世界を切り開く鍵はイノベーションだ

田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

拡大田中均日本総研国際戦略研究所理事長

余りに異様な現世界

 国際関係は大きく揺らいでいる。後世の歴史家は現状をどう評価するのだろう。私は過去50年にわたり国際関係の現場にいて、外交にも直接携わってきた。そのような者の目から見て今日起っていることは、余りにも異様だ。

 唯一の超大国である米国の大統領が前任者の成果をことごとく否定し、ツイッターで毎日のように重要政策について衝動的ともいえるコメントを出す。米ロでは再び核やミサイルを巡る軍備管理が振り出しに戻ったようだ。

 トランプ大統領は価値も理念も伝統的政策も脇に置き、「アメリカ・ファースト」を掲げ、力を背景に二国間「取引」にいそしむ。中間選挙では下院で民主党が多数を獲得したが、未だトランプ支持層は強固で、上院は共和党の多数を崩せなかった。

 世界で第二の経済力を有し、急速に台頭する中国は、「中国の夢」を語り、過去の栄華を取り戻すとする。これは覇権を望んでいるのではないかと疑念を生む。「一帯一路」構想はアフリカや中南米にも伸びてきた。

 欧州の要と見られているドイツでも伝統的政党は国政や州議会選挙でポピュリスト的政党に敗退を続け、メルケル首相の求心力は大幅に低下した。英国のEUからの離脱期限まで半年を切ったが、一向に見通しは明らかとならない。

 トルコ・イスタンブールでは政府批判で著名なサウジアラビア人ジャーナリストが自国総領事館に赴いた途端、殺害されてしまった。世界の混乱はまだまだ続く。国際社会の価値やルールが損なわれているのをどう理解するべきなのだろう。それぞれの事象が特有の事情で起こっているとしても、背景には時代を織りなす共通の要因があるのではないか。

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筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。2006年4月より2018年3月まで東大公共政策大学院客員教授。著書に『見えない戦争』(中央新書ラクレ、2019年11月刊行予定)、『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。

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