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オスカルとアンドレはどうして結婚できないの?

エンタメ を楽しみながら、日本国憲法のエッセンスを体得する(2)

内山宙 弁護士

「ベルばら」に出てくる様々な結婚

 その他にも、「ベルサイユのばら」に出てくる結婚のエピソードには様々なものがあります。

 マリー・アントワネットのお気に入りであるポリニャック夫人の娘シャルロット(なんとこのとき11歳)とロザリーは、やはり政略結婚でロリコン趣味の公爵に嫁がされそうになります。その結果、シャルロットは世を儚(はかな)んで自殺してしまいますし、ロザリーは家出をしてしまいます。

 フェルゼンはマリー・アントワネットに恋をしていたのですが、結ばれようもなく、親からの圧力もあったため、やむなく見合いをして結婚が決まっていました。オスカルから「愛してもいないのに結婚するのか?」と問い詰められて「では、愛していれば、愛してさえいれば結婚できるのか?」と返し、苦しい胸の内を明かすのです。結局、マリー・アントワネットへの思いを捨てきれず、後に婚約を解消してしまいました。

 一方、平民に目を向けると、新聞記者のベルナールとロザリー(貴族をやめて、平民に戻っていました)のように愛し合う二人が結ばれるという今のような普通の形でした。貴族を捨てたオスカルと平民のアンドレも二人の合意で結ばれました。このように自由に結婚できた平民と比べると、貴族って窮屈だなと思います。

政略結婚はすべて違憲

 さて、貴族の結婚、とりわけ政略結婚はとても窮屈そうだなということがわかりましたが、日本国憲法だとどうなるかというと、政略結婚はばっさり全部違憲です。

 日本国憲法で結婚のことについて触れているのは24条です。

24条
1 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 両性の合意のみに基づいて結婚していいよ、ということになっているので、親や国王の同意がなければ結婚できないということはありません。ましてや、政略結婚のように、親が決めた結婚を押し付けられるということもありません。

 ですから、日本国憲法の下であれば、マリー・アントワネットがフランスに嫁いでくることもなかったし、シャルロットやロザリーがロリコン公爵と結婚させられそうになることもなかったということができます。ベルばらの登場人物に日本国憲法を教えて差し上げたかったです。

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筆者

内山宙

内山宙(うちやま・ひろし) 弁護士

1974年、愛知県生まれ。中央大学法学部卒、成蹊大学法科大学院修了。裁判所勤務の傍ら夜間の法科大学院に通い、2007年司法試験合格。08年弁護士登録(静岡県弁護士会)。静岡県弁護士会・憲法委員会委員、日弁連・法科大学院センター委員。エンタメ作品を題材とした憲法の講演を多数回開催している。著書に『これでわかった!超訳特定秘密保護法』(岩波書店・共著)、小説『未来ダイアリー もしも、自民党改憲草案が実現したら?』(金曜日)などがある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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