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「共和党のトランプ化」か、新しい変化の台頭か

中間選挙後のアメリカ政治を占う

前嶋和弘 上智大学教授

(2)ロシア疑惑の追及による混迷化の可能性

 議会の承認が必要な内政の舵取りが一気に難しくなるだけでなく、ロシアの大統領選介入とトランプ陣営の癒着についてのロシア疑惑を巡るトランプ氏の弾劾裁判が始まる可能性がある。

 2年前の大統領選に介入したとされるロシア側とトランプ陣営が「共謀」した疑惑について、モラー特別検察官の捜査が現在、大詰めを迎えているといわれている。

 ロシアの行為を容認・協力したのかどうか、下院多数派の民主党が主導する形で、追及が強まっていくだろう。トランプ政権に対する下院各委員会の調査も本格化する。

 ただ、もし、成果を急ぐ民主党がロシア疑惑を巡り、トランプ大統領の弾劾に向けて動きだせば、政治が一気に膠着して止まってしまう。下院の過半数が賛成すれば弾劾状(起訴状に相当)を可決できるが、弾劾を決めるのは上院であり、投票出席議員の3分の2の賛成が必要なため、ハードルは極めて高い。つまり、弾劾の可能性が少ないことを前提に弾劾にかけるようなものだ。

 ロシア疑惑追及を進め、政治が停滞した場合を危惧する声が民主党側は特にベテラン議員の間では多い。そのため、疑惑追及に今のところ慎重である。それでも民主党にすれば下院の多数奪還が今回の中間選挙の最大のポイントであるため、「せっかくの機会を使わない手はない」という声もある。モラー特別検察官の捜査内容やトランプ氏側の対応次第では、弾劾手続きが始まる可能性は常にあるとみた方がいいだろう。

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筆者

前嶋和弘

前嶋和弘(まえしま・かずひろ) 上智大学教授

専門はアメリカ現代政治。上智大学外国語学部英語学科卒業後,ジョージタウン大学大学院政治修士課程修了(MA),メリーランド大学大学院政治学博士課程修了(Ph.D.)。主要著作は『アメリカ政治とメディア:政治のインフラから政治の主役になるマスメディア』(単著,北樹出版,2011年)、『オバマ後のアメリカ政治:2012年大統領選挙と分断された政治の行方』(共編著,東信堂,2014年)、『ネット選挙が変える政治と社会:日米韓における新たな「公共圏」の姿』(共編著,慶応義塾大学出版会,2013年)