「移民政策」を猛スピードで推し進める日本政府
「安倍政権としては、いわゆる移民政策をとる考えはありません」
総理の言葉と裏腹に、日本政府は今、明らかに「移民政策」を猛スピードで推し進めている。
2018年11月13日。衆議院本会議で外国人労働者の受け入れ拡大を目指す「入国管理法」の審議が開始された。
今国会中に可決し、来年4月に導入、向こう5年で最大34万人の受け入れを目指すという。
今年2月の経済財政諮問会議で安倍総理が外国人の就労拡大に向けた新制度検討を指示、6月の骨太方針に就労目的の新しい在留資格創設が明記された。スピーディに進められてきた政策だ。
外国人留学生の労働を解禁した中曽根政権

日米首脳会談を終え、共同記者会見に臨む中曽根康弘首相(右)とレーガン米大統領。ロン・ヤスと呼び合う親密な仲だった=1983年11月10日、首相官邸
このニュースを様々な角度から見るため、時計の針を巻き戻そう。
日本で初めて外国人留学生の労働を解禁した入管法改正が実施されたのは1983年。まさにアメリカが「今だけカネだけ自分だけ」の株主至上主義に舵(かじ)を切り、レーガン政権下で「独占禁止法」が骨抜きにされた、あの時期だった。ロン・ヤスと呼び合うほど親密だったレーガン政権のあとを追うように、日本の中曽根政権は、海外からやってくる人・モノ・サービスに、大きく門を開いてゆく。
無利子だった奨学金に初めて利子がつけられ、金融商品化への道筋が作られたのはこの時だ。国鉄や電電公社が民営化され、一等地だった敷地を大手マスコミをはじめとする大企業が、脇から安値で手に入れた。
外国人留学生が日本で働けるようにする法改正の後、自民党は「留学生10万人計画」を打ち出した。学生たちはアルバイトを掛け持ちしながら、安価な労働力を企業に提供するようになった。さらに93年には、高度な技術を自国に持ち帰る目的の外国人が一定期間日本で働ける「技能実習生制度」が創設され、外国人労働者の数は急速に増え始める。