メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

旧米軍用地の原状回復に注がれた日本の129億円

日米地位協定の歪みを映す沖縄の現実。これは汚染処理や建物撤去に使われた氷山の一角

島袋夏子 琉球朝日放送記者

原状回復に日本の税金から129億円

 アメリカ軍が使った返還地を訪ね、それらの土地から沖縄の「今」を考えるというのが、私のライフワークになっている。

 これまでの取材で、軍隊が使った土地のほとんどで大量のゴミが出てきたり、有害物質による汚染が発覚したりしていることが分かった。それは、沖縄の人たちが押し付けられている「負担」を物語っている(「米軍から “汚染された土地” が還ってくる!」参照)。

 今年8月、その負担の大きさを示す資料が手に入った。軍用地返還の際に、ゴミや構造物を撤去したり、有害物質で汚染された土を取り除いたりするのにかかった「原状回復費」を巡る資料だ。

 「原状回復費」と言えば、沖縄返還交渉の際、毎日新聞記者の西山太吉がスクープした密約の一つでもあった。それは沖縄返還前、日本政府が返還軍用地の原状回復費約400万ドルを肩代わりする密約を結んでいたというものだった。ご存知の方も多いと思うが、西山のスクープは、後に外務省女性事務官とのスキャンダルにすり替えられ、長く本質が議論されることはなかった。

 今回明らかになった原状回復費は、約128億7100万円。1972年の沖縄本土復帰以降、日本政府が負担してきた「カネ」だ。

 アメリカ軍に接収された土地が返ってくることは悲願だ。だが、取り戻した土地を使えるようにするため、日本政府が国民の税金を湯水のように注いでいることはあまり知られていない。

 長く「原状回復費」の議論が封印されてきたことが、今の沖縄に、この国に、大きな影を落としている。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

島袋夏子

島袋夏子(しまぶくろ・なつこ) 琉球朝日放送記者

1974年沖縄県生まれ。琉球大学法文学部卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修了。 山口朝日放送で約10年勤務したのち、2007年に琉球朝日放送入社。米軍基地担当などを経て、現在はニュースデスク、調査報道担当。2014年「裂かれる海~辺野古 動き出した基地建設~」で第52回ギャラクシー賞番組部門大賞、2016年「枯れ葉剤を浴びた島2~ドラム缶が語る終わらない戦争~」で日本民間放送連盟賞テレビ報道部門最優秀賞、2017年石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞公共奉仕部門奨励賞など。

島袋夏子の記事

もっと見る