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旧米軍用地の原状回復に注がれた日本の129億円

日米地位協定の歪みを映す沖縄の現実。これは汚染処理や建物撤去に使われた氷山の一角

島袋夏子 琉球朝日放送記者

次々に汚染が発覚。キャタピラが出てきたことも

 那覇から車で約1時間。国道58号を北向けに進むと、ランドマークになっている大きな観覧車が見えてくる。

 左右両側には、白や黄色、ピンクなど、色とりどりの真新しい建物が積み木のように立ち並ぶ。リゾートマンションや飲食店が軒を連ね、地元の若者はもちろん、観光客、そして半パンとTシャツ姿の若いアメリカ兵たちが歩いている。

 県内屈指のリゾート地として賑わう北谷町。ここは、返還軍用地がとんでもない問題を抱えていることを浮き彫りにした場所でもある。

 北谷町の野国昌春町長は次のように振り返った。

「区画整備事業中に、何回も何回もストップするのです。油が出るとか、砲弾や小銃弾、燃料タンクが出るとか。(軍用車両の)キャタピラがそのまま出てきたこともありました」

拡大琉球朝日放送提供
 キャンプ桑江、陸軍貯油施設は、2003年に返還された。しかし土地が地主に引き渡された後、跡地利用の最中に、次々と汚染が発覚した。

 沖縄防衛局に情報開示請求を行い、入手した約6500ページの土壌調査報告書には、深刻な汚染の実相が記録されていた。環境基準を超える鉛や油といった有害物質の数々。沖縄県や北谷町の資料からは、PCBが使用されている疑いがある安定器や小銃弾、燃料タンク、油送管なども地中に残されていたことがわかった。写真には、土の中にそのまま埋められた軍用車両のキャタピラも写っていた。キャンプ桑江と陸軍貯油施設の原状回復には17億4700万円が使われていた。

拡大2007年1月、北谷町キャンプ桑江で発掘されたキャタピラ

 負担はこれだけではなかった。

 北谷町では、地代が入らなくなり、生活に困っている地主を支援するため、土地の使用収益が上がるまで、固定資産税を半額免除している。これまでに町が免除した金額は約1億円にも上っている。しかも、返還から15年が経った今も、原状回復が終わっていない土地があった。

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筆者

島袋夏子

島袋夏子(しまぶくろ・なつこ) 琉球朝日放送記者

1974年沖縄県生まれ。琉球大学法文学部卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修了。 山口朝日放送で約10年勤務したのち、2007年に琉球朝日放送入社。米軍基地担当などを経て、現在はニュースデスク、調査報道担当。2014年「裂かれる海~辺野古 動き出した基地建設~」で第52回ギャラクシー賞番組部門大賞、2016年「枯れ葉剤を浴びた島2~ドラム缶が語る終わらない戦争~」で日本民間放送連盟賞テレビ報道部門最優秀賞、2017年石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞公共奉仕部門奨励賞など。

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