市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員
1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
第4章 必要な「固有語」と「音変化」
第4章 必要な「固有語」と「音変化」 1.固有語は「訓読み」のつもりで
ヨロブン、アンニョンハセヨ!
前週までは、日本語の発想や漢字から韓国語に入った方がいかに楽か、共通点や法則を見つけて紹介してきました。これからの章は、私にとっては一番手を抜きたいけれど抜いてはいけない、このシリーズの主眼である「日本語からのアプローチ」からは最も縁遠いところです。
やりたくないなあというのが本音です。だって、「理屈抜きで覚えなければならない」と言わなければならないからです。ほんと、いやだなあ。
というグチは置いといて、今後、どういう「罠」が待っているかを前もって警告しておきましょう。
まず、具体的に、あの元祖韓流のテレビドラマ「冬のソナタ」を使って説明しましょう。
このちょっとイカしたタイトルもまた、韓流に火を付けた要因だと思っています。原題は「겨울연가(キョウル・ヨンガ)」です。「キョウル」は冬の意味。「ヨヌガ」は漢字語で「恋歌」です。
ソナタは本来、多楽章の器楽曲ですが、恋歌(ラブソング)をソナタと意訳したのです。「冬のラブソング」だと、ぱっとしませんね。「冬ソナ」ならぬ「冬ラブ」ではヒットしたでしょうかねえ。おっと、また横道に。
ではキョウルは? 元の漢字もないし、覚えるしかありません。春・夏・秋・冬は「ポム、ヨルム、カウル、キョウル」と、いずれも漢字がありません。これが「固有語」です。
全部覚えなければならないのです。がっかりでしょう?
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