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国内避難民って知ってますか? 福島からの洞察

モシニャガ アンナ ジャパン・プラットフォーム プログラムコーディネーター

急増中なのにおきざりに

 国連の定義で、国内避難民(Internally Displaced Persons: IDPs)とは、紛争や暴力行為、深刻な人権侵害や、自然もしくは人為的災害などによって家を追われ、自国内での避難生活を余儀なくされている人々を指す。

 国内避難民モニタリングセンター(Internal Displacement Monitoring Centre - IDMC)の報告によると、2017年の1年間に、わかっているだけでも、新たに3060万人もの国内避難民が日本も含む143の国と地域で発生している。このうち、1880万人が災害によって、1180万人が紛争などによって、家を追われたとされている(紛争・災害別の内訳は下記のを参照)。

図:国内避難民の紛争・災害別内訳拡大図:国内避難民の紛争・災害別内訳

 もちろん、「国内避難民」と一言でいっても、災害時に自治体などによって出された避難勧告などを受けて事前に避難できた人から、自宅が爆撃に遭(あ)って命からがら逃れてきた人までさまざま。別の言い方をすれば、非自発的な移動(Displacement、以下強制移動)の経験と、それによって人々が被ることになった影響は、千差万別だ。

 実際、世界中で強制移動を強いられている人の数は、前代未聞のペースで増え続けている。そのなかでも国内避難民は、国際問題として注目を集める難民と比べても、圧倒的に多い。にもかかわらず、国内避難民の問題はこれまで、おきざりにされる傾向があった。

福島の原発避難問題を報告

 冒頭で記した「指導原則」は、国内避難民問題に対応するうえでの唯一の共通の指針(法的拘束力はない)を示したものだ。その採択から20周年にあたる今年は、各地で国内避難民の窮状にライトを当て、対応を促す機運を盛り上げようと、国際会合などのイベントが開催された。

 私はそのうち、7月20日にロンドン大学の学術機関Refugee Law Initiative (RLI)が主催した国内避難民問題に関するワークショップと、10月18日にジュネーブにある前述の国内避難民モニタリングセンター(Internal Displacement Monitoring Centre: IDMC)が開催した国内避難民問題と持続可能な開発目標(SDGs)に着目した国際会議で発表する機会を得ることができた。

 どちらの会合にも、各国から100人を超える研究者・政策立案者・援助実務者が会して、これまでのアプローチを振り返り、国内避難民問題の現状、また今後の展望についての多角的な議論がなされた。

 現在私が勤めているジャパン・プラットフォームでは、災害や紛争が原因で発生した国内避難民への人道支援を国外各地で展開するとともに、東日本大震災の際に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに避難を強いられた多くの避難者に対し、息の長い支援を続けてきた。さらに、前職では福島の原発避難問題に着目した研究を行っていた。

 そのため、どちらの会合においても、私の発表は福島の原発避難を取り上げたものとなった。

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筆者

モシニャガ アンナ

モシニャガ アンナ ジャパン・プラットフォーム プログラムコーディネーター

移住(migration)と強制移動(displacement)問題を専門としている。2017年9月からジャパン・プラットフォーム(JPF)のプログラム・コーディネーターを務めている。現職着任前 は、国連世界食糧計画(WFP)、国連大学(UNU)、欧州委員会(European Commission)や国際労働機関(ILO)などの国際機関や民間企業などで 経験を積んできた。コペンハーゲン大学大学院地理学科(人文地理学)の修士・博士課程を修了。