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欧州のポピュリズムと知性の闘い

永田公彦 Nagata Global Partners 代表パートナー

皮肉にも死者を多く出した国で進む右傾化

 先日の米中間選挙直後のホワイトハウスでの記者会見における、CNNのアコスタ記者など一部メディアに対するトランプ氏の威圧的な言動は、ある人物を想起させた。欧州で最も右傾化が進むハンガリーのオルバン首相だ。今や議会(一院制)の7割の議席を占める右派系ポピュリズム連立政権を率い、権威主義国家では定番政策ともいえるメディア統制を2010年に開始、2015年の欧州難民危機を受け、EU未加盟のセルビア国境に2重フェンスを設置するなど、移民排斥とハンガリーファーストを掲げ、政権運営を行う。このオルバン氏とトランプ氏が重なって見えるのは果たして筆者だけだろうか。

 さて、欧州で突出して右傾化が進むのが、このハンガリーと、同じヴィシェグラード・グループに属し同国と連携を強めるポーランドだ。実は、皮肉にもこの2国は、先の大戦で命を落とした国民が多い国々でもある。

 下記図1は、2つの数字を欧州各国で比較したものである。1つは、直近の国政選挙後に右派系ポピュリズム政党の議員が議会で占める割合(上の赤棒)、2つ目は、第二次世界大戦における死亡者数(兵士・市民)が1939年当時の人口に占める割合だ(下の青棒)。

拡大図1. 右派系ポピュリズム政党による国政議会占有率と第二次大戦による死亡者数の対人口比 (2018年10月24日付フィガロ紙記載データ及びロベール・シューマン財団公表データを抜粋)

 これを見ると、ドイツ、ギリシャ、リトアニアを除き、総じて、先の大戦で多くの犠牲者を出している国々で、右傾化が進んでいることが読み取れる。

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筆者

永田公彦

永田公彦(ながた・きみひこ) Nagata Global Partners 代表パートナー

フランスを拠点に、フォーチュン・グローバル500企業をはじめ数多くの欧州やアジア系企業に対し、国際経営・事業・組織コンサルティングをおこなう。西南学院大学(文学部)卒業後、82年JTBに入社、本社及び海外事業部門のマネジャーを経て、96年フランスに拠点を移す。MBA(EMリヨン)を取得後、リヨン商工会議所(アジア担当マネジャー)、欧州系調査コンサルティング会社などを経て2003年より現職。リヨン第二大学非常勤講師(アジア経済・経営修士コース 1998~2000年)、北九州市立大学特任教授(グローバル人材育成教育 2013~16年度)を歴任し、現在はパリ第9大学及びフランス国立東洋言語文化学院で非常勤講師を務める。