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必然性なき2025年大阪万博のいかし方

これまでと同じ万博ではなく、これまで誰もおこなわなかった万博はできるか

鈴村裕輔 法政大学国際日本学研究所客員学術研究員

大阪で開催する必然性があいまい

2015年の大阪万博開催決定を祝福してライトアップされた太陽の塔=2018年11月24日、大阪府吹田市拡大2015年の大阪万博開催決定を祝福してライトアップされた太陽の塔=2018年11月24日、大阪府吹田市
 大阪万博の招致委員会は、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマと、「未来社会の実験場」というコンセプトを掲げている。

 一見すると、夢と希望に溢(あふ)れるテーマである。ただ、あらためて読み返してみると、「いのち輝く」とはどんな状況を意味するか、「未来社会のデザイン」とは何か、具体的な像は結ばない。それゆえ、大阪で万博を開催する必然性、必要性が果たしてあるかも、さっぱり分からない。

 安倍晋三政権が並べてきた「地方創生」「女性活躍」「一億総活躍」「人生100年時代」といった「言葉」とどこか似ていて、耳当たりのよい言葉を並べただけに見えてくる。

 また、「未来社会の実験場」というコンセプトの下に例示されているのは、「展示をみるだけでなく、世界80億人がアイデアを交換し、未来社会を『共創』(co-create)」「開催前から、世界中の課題やソリューションを共有できるオンラインプラットフォームを立ち上げ」「人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信」の3項目だ。

 テーマと比べれば、具体的な提案が盛られてはいるものの、2025年に大阪で万博を開催する必然性は伝わってこない。

SDGs達成、Society5.0実現に意味はあるが……

 次により現実的な内容が記されているであろう「2025年大阪・関西万博がめざすもの」を確認してみた。以下の2点が挙げられている。

(1) 国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)が達成される社会
(2) 日本の国家戦略Society5.0の実現

 持続可能で均整の取れた世界の発展を考えるうえで、SDGsは重要で意義のある取り組みといえる。片や、「狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、5番目の新しい社会(超スマート社会)」と定義されるSociety5.0は、名称は大仰だが、要はICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)とを融合させた取組により、人々に豊かさをもたらす社会を実現させるという、ごく当たり前の試みに、新規な言葉を与えただけである。

 どちらも、一定の意義はある。だが、大阪ではなく他の都市が主張しても不思議ではない。大阪で万博を開く必然性をアピールするものでは、決してない。

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筆者

鈴村裕輔

鈴村裕輔(すずむら・ゆうすけ) 法政大学国際日本学研究所客員学術研究員

1976年、東京生まれ。法政大学国際日本学研究所客員学術研究員。法政大学大学院国際日本学インスティテュート政治学研究科政治学専攻博士課程修了・博士(学術)。専門は比較文化。主著に『メジャーリーガーが使いきれないほどの給料をもらえるのはなぜか?』(アスペクト 2008年)、『MLBが付けた日本人選手の値段』(講談社 2005年)がある。日刊ゲンダイで「メジャーリーグ通信」、大修館書店発行『体育科教育』で「スポーツの今を知るために」を連載中。野球文化學會会長、アメリカ野球愛好会副代表、アメリカ野球学会会員。

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