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安倍官邸が主導する日朝秘密交渉の行方

細る外務省のパイプ。警察庁出身・北村内閣情報官のルートは機能するか

鈴木拓也 朝日新聞記者

拡大拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表や拉致被害者の横田めぐみさんの母、早紀江さんらと面会する安倍晋三首相=2018年5月28日、首相官邸

北京の大使館ルート以外の「手段」

 話し相手からけんか口調で責められると、誰でもムカッとくるものだ。国会論戦でも、野党議員からの追及に、怒り心頭に反論する安倍晋三首相の姿が散見される。特に首相の関心が強い分野の質疑ではよく目にする。

 11月7日の参議院予算委員会で、安倍首相が「いちいち指を指されなくても分かっておりますから」と声を荒らげる場面があった。北朝鮮による拉致問題をめぐる質疑で、立憲民主党の有田芳生議員から、どのような「条件」が整えば北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談が実現するのかと、早口で問い詰められた時だった。

 安倍首相は続けた。

「(日朝首脳会談を行う)条件等について私が今ここで述べるべきだということについて、家族の皆様が言っているということは、これは全くないわけでありますから。家族の皆様が望んでいるのはそんなことではないんですよ。中身がちゃんと進んでいるかどうか、ということであろうと思うわけでありまして。ここで政局的にそういうことを取り上げるのはやめてもらいたい」

 北朝鮮の非核化に向けた米朝協議が難航するなか、安倍首相が政権の最重要課題に位置づける拉致問題も解決の糸口が見えない。日朝交渉の見通しが立っていない現状にイライラしたのか。単に虫の居どころが悪かっただけなのか。

 安倍首相の本心を推し量ることはできないが、筆者が気になったのはむしろ次のくだりである。

「北京の大使館ルート等、様々な手段を通じてやり取りを行ってきたところでございますが…(中略)詳細については明らかにすることは差し控えさせていただきたい」

 この文脈の冒頭にある「北京の大使館ルート」とは、北朝鮮との正式な連絡手段だ。

 北朝鮮とは国交がないため、お互いに在外公館を置いていない。このため、日朝がともに大使館を置く北京でやり取りを行うのが通例である。北朝鮮が核実験やミサイル発射をした際に日本側から抗議を申し入れる際や、公式協議の調整はこのルートが使われる。

 注目すべきでは、これ以外の「様々な手段」である。

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筆者

鈴木拓也

鈴木拓也(すずき・たくや) 朝日新聞記者

1975年、神奈川県生まれ。産経新聞社を経て、2003年に朝日新聞社入社。社会部で警視庁捜査1課、政治部で首相官邸や外務省などを担当。2017年4月から国際報道部に所属し、北朝鮮問題や日韓関係を中心に取材している。

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