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自民党は天皇国日本のモノサシ1本つくれなかった

籠池泰典氏に聞く「天皇国日本」、教育、安倍政権

永尾俊彦 ルポライター

写真左奥にある奉安殿に納める御真影(天皇・皇后の写真)を高く掲げた校長と思しき人物(中央)と、続いて教育勅語をうやうやしく戴いた教頭と見られる人物らを軍装し、捧げ銃(つつ)で迎える生徒たち(右)(1928年11月/小野雅章・日本大学教授提供)拡大左奥にある奉安殿に納める御真影(天皇・皇后の写真)を高く掲げた校長と思しき人物(中央)と、続いて教育勅語をうやうやしく戴いた教頭と見られる人物らを、軍装し、捧げ銃(つつ)で迎える生徒たち(右)=1928年11月/小野雅章・日本大学教授提供

「ボクは憲法9条改憲に反対」

――教育勅語は、「天皇のために命を投げだせ」と国民を洗脳し、あの無謀な戦争に国民を動員する原動力になったと言っても過言ではないと思います。だからこそ、戦後国会で排除、失効が決議されましたが、その教育勅語をなぜ教育の理念にしようとしたのでしょうか。

籠池 長い間幼稚園で教育をさしてもらう中で、さきほど述べた社会と教育の現状をふまえ、子どもたちに教えるべきことをまとまりのあるものにしたいと考えていました。それで、中国の古典から西洋の古典からいろいろと模索し、教育勅語に行きついたということですわ。

 「朕思うに」という部分や、「天皇のために命を投げだせ」という部分にアレルギーを持っている方がいらっしゃるが、そこは抜いてもらったらええ。他のところ、「父母には孝行しなさい」「兄弟姉妹は仲良くしなさい」などの徳目が重要なんですよ。こういう中身がいいの。

――しかし、教育勅語で挙げられている「父母には孝行しなさい」など全部で12の徳目は、すべて最後の徳目である「天皇のために」という徳目に収れんし、「ここにこそ、教育勅語の大きな特色があった」と教育学者で組織する「日本教育学会」は指摘しています(同学会教育勅語問題ワーキンググループ編『教育勅語の教材使用問題に関する研究報告書』、2017年12月)。

籠池 そこを軍人が活用したことはあるでしょうね。

――また悪用されてしまう危険性があるのではないでしょうか。

籠池 私が今一番危惧しているのは、安倍政権のとっている対応が昭和1ケタから開戦前夜にいたる状況によく似ていることなんですよ。麻生(太郎)さん(副総理兼財務大臣)がかつて改憲について「ナチスの手口に見習え」と言いましたが(注1)、国民がどこまで眼を見開いているかによって戦争になるか否かが変わってくるんやと思うてます。そのこともあって、ボクは早く小学校をつくらないかん、人材育成を早くせな間に合わんでと思うてました。

――ん? 籠池さんは憲法9条を変えて、戦争ができる国にし、戦争になったらお国のために戦う人を育てるために森友小をつくろうとしていたのではないのですか。

籠池 現行憲法で変えるべきなのは家族について規定した24条と前文です。2016年くらいまでは憲法9条を変えた方がいいと思っていたが、安倍首相の言動を見て考えが変わりました。国民をうとんじ、だましている。今は改憲はあかんだろうと思っています。ボクは憲法9条改憲反対です。

――えっ、そうなんですか?

籠池 世間の人たちは、ボクのことを自分たちの思いたい方向に思うてるんですよ。今上陛下も憲法9条改憲反対です。

 今、この国は自衛隊の職業軍人によって守られています。9条を改憲したら、安倍首相は大東亜戦争の指導者のように、自分は戦争に行かないが、「悪いけど君たち行ってくれんか」と彼らを戦場に送るのではないかと見ています。安倍政権は、徴兵制を導入するかもしれん。ボクはあの人の心の奥が見えるんでね。その暴挙は止めなければならず、そのためにも憲法9条改憲は阻止すべきです。
(注1)麻生太郎副総理兼財務相は2013年7月29日夜、都内で講演し、改憲の手法をめぐってドイツのナチス政権時代に言及し、「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」(2013年7月31日付、中日新聞)と述べた。

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筆者

永尾俊彦

永尾俊彦(ながお・としひこ) ルポライター

1957年、東京都生まれ。毎日新聞記者を経てルポライター。1997年の諫早湾の閉め切りから諫早湾干拓事業を継続的に取材。主な著書に『ルポ 諫早の叫び――よみがえれ干潟ともやいの心』(岩波書店)、『ルポ どうなる? どうする? 築地市場――みんなの市場をつくる』(岩波ブックレット)、『国家と石綿――ルポ・アスベスト被害者「息ほしき人々」の闘い』(現代書館)など。