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中島岳志の「自民党を読む」(4)河野太郎

リベラルを志向しつつも、政策の中核は新自由主義。父からの自立を意識しすぎ?

中島岳志 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

新しいアジア太平洋地域でのリーダーとなる日本外交を提唱

 外交・安全保障政策については、あくまでも日米安保条約が機軸であるとし、アメリカの戦略と連動することによって、防衛費が抑制されると主張します。沖縄にアメリカの海兵隊が存在することが「間違いなく中国に対する抑止力になっている」と言い、「在日米軍基地は当面、維持していくべきである」と論じます。(③:152-153)

 在日米軍は、「東アジアの平和と安定を守る公共財である」としばしば言われる。私も同意見だ。在日米軍は日本の防衛だけではなく、東アジアのパワーバランスを保つことも目的としている。そして、日本は、基地を提供し、一定の財政支援を行うことによりそのコストを支払っているのだということを忘れてはならない。(③:153)

 ただし、今後は「アメリカの「フォロアー」から脱却し、新しいアジア太平洋地域でのリーダーとなる日本外交を展開」すべきと主張します(⑦:204)。アメリカが覇権国として振る舞い続けることは難しく、中国の影響力が強まることは避けられません。そんな状況に対応して、日本はアメリカ、韓国、ASEAN諸国と協力しつつ、アジア太平洋地域の「地域機構」をつくるべきことを提唱します。アジアでの中国の力を相対的に削ぎ、中国の経済支配を抑制する戦略を構想します。

 河野さんの特徴は、外交・安全保障問題についてもコスト問題が強調される点です。この観点から、ODA(政府開発援助)の半減が提案されます(③:157)。

 ODAを搬出することだけが外交ではなく、事実、日本ほどの経済力はなくでも、高い外交力で存在感を示している国は多い。日本には、外交官の能力を向上させる取り組みが必要だ(③:156)

総体的な志向性は「リベラル」だが、政策の中核は「リスクの個人化」

 最後に河野さんの価値観を見ていきたいと思います。彼は「リベラル」なのか「パターナル」なのか。

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筆者

中島岳志

中島岳志(なかじま・たけし) 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学でヒンディー語を専攻。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科でインド政治を研究し、2002年に『ヒンドゥー・ナショナリズム』(中公新書ラクレ)を出版。また、近代における日本とアジアの関わりを研究し、2005年『中村屋のボース』(白水社)を出版。大仏次郎論壇賞、アジア太平洋賞大賞を受賞する。学術博士(地域研究)。著書に『ナショナリズムと宗教』(春風社)、『パール判事』(白水社)、『秋葉原事件』(朝日新聞出版)、『「リベラル保守」宣言』(新潮社)、『血盟団事件』(文藝春秋)、『岩波茂雄』(岩波書店)、『アジア主義』(潮出版)、『下中彌三郎』(平凡社)、『親鸞と日本主義』(新潮選書)、『保守と立憲』(スタンドブックス)、『超国家主義』(筑摩書房)などがある。北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現在、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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