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元ネトウヨ、故翁長知事の息子が語る沖縄の保守

亡き父の後を追い政治家になった次男・雄治氏が発する沖縄保守から本土への異議

翁長雄治 那覇市議

ネトウヨバリバリだった大学時代

――雄治さんは祖父から3代続く保守政治家の家系の生まれです。選挙はお手のものでは?

翁長 祖父は生まれたときには亡くなっているし、父も家で政治の話はしなかった。〝帝王学〟を仕込まれるなんてこともなかった。むしろ、我が家には『政治は家業ではない』という家訓があり、できるだけ政治から遠ざかるように言われていました。だから、父の選挙も母は僕を選挙事務所に行かせたくなかった。僕は物好きなので、勝手に遊びにいってましたけどね。選挙を本格的に手伝ったのは大学生から。父の那覇市長選が最初です。

――その頃から政治に興味を持つようになったのでしょうか?

翁長 正確には大学4年だった2009年、民主党が自民党から政権を奪取した年です。当時の僕はネトウヨバリバリ。

――ネット右翼ですか。

翁長 そうですね。SNSにあがる、韓国は悪い、中国はとんでもない、民主党はダメな党といった右派のコメントをずっと読んでいく。そして、共感のコメントを書き込んでいました。

 あの頃、日本は雰囲気がおかしかった。マスコミは政権交代をあおり、盛り上がっていた。僕はマスコミの報道は偏ってもいいと思ってるんです。でも、皆が同じ方向を向くのは変です。流れで民主党に票を入れるのは、いかがなものかと感じていました。保守政治家の息子として根っからの自民党支持で、自民党の敵は自分の敵という意識もありましたけど……

――新聞やテレビといったメディアが政権交代ブームに踊っていたのは確かです。

ネトウヨの主張は思い込み、SFの世界

翁長雄治さん=2018年11月16日拡大翁長雄治さん
翁長 真実はネットにあり、マスコミにはないと信じてました。ところが、次第にネトウヨに疑問を抱くようになった。最大の転機は父がネットで叩(たた)かれたことです。

――いつごろですか?

翁長 2012年末に民主党政権から自民党の安倍晋三政権に代わった後、那覇市長だった父が東京で「普天間基地の県外移設、オスプレイ配備反対」の行動をしたのを境に、ネット上に「翁長の長女は中国の外交官と結婚」「次女は北京大学に入学」なんてデマがあふれました。あまりにアホっぽい作り話に、姉たちと笑っていましたけど。

――笑っていた?怒るのではなくて。

翁長 姉はそもそも独身だし、中国の外交官を連れてはこられんだろう。次女も北京大学には、いくらなんでも入れん。俺たち、そんなに賢くないからねって。次女からは「受けてみんと分からないやん」と怒られましたけどね。

――保守の翁長雄志さんが反基地を言うようになったのはどうしてですか?

翁長 那覇市長になった2000年ごろから、米軍基地について「ほんとうにこのままでいいのか」という話しはしているはずです。少なくとも、市長2期目以降は公言するようになっていると思います。辺野古移転にしても、そもそも沖縄は両手をあげて容認したわけではない。もともと期限付き。小泉純一郎政権でこれが反故(ほご)にされたあたりから、知事も含めてみな、反発しているんです。ただ、小さな県の一市長が発言したところで、世間には届かない。当時、父はそれほどの政治家ではないですから。

――それがネトウヨから目の敵にされるほどメジャーになったのはどうしてでしょうか。

翁長 「言葉」の強さじゃないですか。保守のど真ん中でやってきた人が、自民党から離れることも恐れずに、基地反対を強い言葉で主張し、本土の保守を問い詰める。多くの人が翁長は本気だと信じてくれたのだと思います。

――いずれにせよ、お父さんの雄志さんへの理由のない攻撃を見て、ネトウヨに疑問を持つようになったわけですね。

翁長 他の点では意見が一致するけど、翁長雄志については妙なことを言う。なんか、こいつらおかしくないか。そう思い始めると、民主党や中国、韓国が悪いという主張もあやしく見えてきた。新聞は少なくとも、取材をちゃんとして書くけれど、ネットは取材も何にもない。ネトウヨの主張は事実ではなく、思い込み。自分がそうだと思うことを書いているだけ。SFの世界なんです。

県知事選でツイッターを始める

――ただ、ネットの影響力はますます大きくなっています。雄治さんも最近、ツイッターを始めたとか。

翁長  県知事選の時から始めました。ハッシュタグの付け方も分からない素人でしたけど、いまはフォロワーが6500ぐらいですね。選挙が終わったらやめるつもりだったんですが、ふだんからフォロワーをつなぎとめておいて、大事なときに発信するのも手かなと思って続けています。

――慣れましたか。

翁長 いや、まだ。気をつけているのは、真実を書くこと。翁長雄治のツイッターはウソは書いていないという信頼感をどうつくるかですね。

――炎上はしませんか。

翁長 僕、炎上はあまりしたことはなくて。ただ、ネトウヨはついてきてくれるので、いろいろ書かれてはいますが。

――ついてくる?

翁長 ネトウヨが絡んでくる。一番笑ったのは、ラーメンを食べたと書いただけで、叩かれたことですね。「沖縄の貧しい子たちを尻目に食うラーメンはうまいか」って。俺はラーメン食うのもダメなんか、と思いました。ただ、変に反応しても仕方ないので、基本的には無視しています。

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筆者

翁長雄治

翁長雄治(おなが・たけはる) 那覇市議

1987年、那覇市生まれ。故翁長雄志前沖縄県知事の次男。大学卒業後、民間企業2社で働いた後、2017年7月に那覇市議選で初当選。現在1期目。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです