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元ネトウヨ、故翁長知事の息子が語る沖縄の保守

亡き父の後を追い政治家になった次男・雄治氏が発する沖縄保守から本土への異議

翁長雄治 那覇市議

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、辺野古沿岸部への土砂の投入が14日、始まりました。保守政治家でありながら、自民党政権が進めてきた普天間飛行場の辺野古移設に抵抗し、8月に急逝した故翁長雄志前沖縄県知事が存命なら、この事態をどう受け止めたのでしょうか。

 前知事の次男で那覇市議の翁長雄治さんは、かつてバリバリの「ネトウヨ」でした。あることをきっかけにネトウヨと決別した彼は今、沖縄を守る保守として、基地を強いる本土の保守とは対立も辞さないと言います。亡き父の生き様や言葉を胸に、保守とは何か反芻してきた雄治さんが思い描く保守のカタチとは何か?那覇の事務所で2時間弱、じっくり話を聞きました。(聞き手・WEBRONZA編集長 吉田貴文)

*この記事は、12月15日付朝日新聞オピニオン面に掲載した翁長雄治さんのインタビュー記事「沖縄保守からの異議」の詳報です。

那覇市の事務所で沖縄の保守を語る翁長雄治さん=2018年11月16日拡大那覇市の事務所で沖縄の保守を語る翁長雄治さん

父・翁長雄志と語った最後の30分

――2018年は雄治さんにとって激動の年だったのではないですか。5月にお父さんの翁長雄志・前沖縄県知事が膵(すい)がんであることを公表、8月8日に亡くなりました。後継を決める知事選が9月末におこなわれ、雄治さんはお父さんが後継指名した玉城デニーさんの選挙を応援。玉城当選に力を尽くしました。いま振り返ってみていかがですか?

翁長 父がだんだん弱っていく姿を見ていたので急逝とは思いませんが、病気が分かってから亡くなるまでは早かったなという印象はあります。

――雄志さんが亡くなって3日後、8月11日に那覇市で開かれた辺野古土砂投入阻止の県民集会での雄治さんのスピーチが語りぐさになっています。

翁長 父が死ぬ2日前、病室で30分ぐらい話をしました。沖縄のこと、基地のこと、あれこれ語りましたが、そのときの父の言葉をここで県民に伝えないでいつ言うのかと思い、自分からお願いしてあいさつをさせてもらいました。

――スピーチで、沖縄がいかに米軍基地の負担に苦しめられてきたか。新たな基地には大義名分がないこと。「ウチナーンチュ(沖縄の人)が心を一つにして闘うときは、おまえが想像するより、はるかに大きな力になると父から言われた」などと述べています。

翁長 そんな話をした翌朝、父の容体が急変、起き上がるのも大変になりました。「午後にまた来るよ」という僕の呼びかけに、「ああ」と言ったのが、父の肉声を聞いた最後でした。

――「ウチナーンチュが心を一つにして闘うときは、大きな力になる」という言葉は印象的です。

翁長 オール沖縄というのは県民の決意と覚悟なんです。それがあったから、翁長雄志は戦えたんですよ。翁長がカリスマだったわけじゃないんです。だから、オール沖縄がまとまって誰かを担げば戦えるはずだ。そういう思いで、この話をしました。

 この日は出棺の日で、まだ気持ちの整理がついておらず、迷いましたけどね。父親の死を政治利用しているとと批判されるかもしれないですし……。でも、とにかく、いま言っておかないとダメ。10年後に言っても意味がないと思った。あいさつした後、出棺にかけつけました。

最終盤で流れた自民党の怪情報

――後継を選ぶ県知事選は、翁長さんが指名しそのオール沖縄が支援した玉城デニーと自民・公明両党が推す佐喜真淳・前宜野湾市長の一騎打ちになりました。メディアの情勢調査は玉城氏優勢を伝えていましたが。

翁長 知事選は玉城選対の青年局長をやらせていただきました。今年2月の名護市長選ではオール沖縄が推す稲嶺進氏が事前調査で有利だったのに、最後に自民・公明が推す候補に逆転された。その再来を恐れましたが、今回は自公に名護市長選時の勢いがなかった。

――選挙期間中には、怪情報が乱れ飛びましたね。

翁長 選挙に怪情報はつきものですが、今回は質がひどかったですね。ちょっと調べれば、ウソだと分かるものばかりで。あんなものを信じて、佐喜真さんに入れるような人は、もともとうちには入れない人だから、あまり気にしませんでした。

 最終盤で自民党の内部調査の結果が流れてきたのです。これが、どこかフェイクぽいんです。確か、佐喜真陣営が公明党支持層の9割を固め、うちが共産党支持層の8割しか固めていないといった結果だった。これは明らかにおかしい。

 そもそも、共産党支持層が8割しか固めていないというのはあり得ない。逆に、公明党支持層が9割以上というのもあり得ない。沖縄の公明党支持層はどんな選挙でも、2割は自民党にいかないんです。こんな怪文書を回すところをみると、自民党も手詰まりだなと思いましたね。


筆者

翁長雄治

翁長雄治(おなが・たけはる) 那覇市議

1987年、那覇市生まれ。故翁長雄志前沖縄県知事の次男。大学卒業後、民間企業2社で働いた後、2017年7月に那覇市議選で初当選。現在1期目。