第5章 文章を作る、話す、書く 1.助詞は日本語に対応
2018年12月22日
アンニョン(安寧)ハセヨ!
さて、先週で何となくハングルが怖くなくなったでしょう。漢字語が読めて、それを表すハングルを判別できたら、あとはそれをつなぐ助詞や副詞、語尾で埋めていけば文章の骨格ができます。いよいよ実践する時期が近づきました。
場面設定で簡単なやりとりをする普通のテキストとは違い、日本語の世界から逆算してここまで来ました。だからこれまで単語の数(語彙)は潜在的に相当増えているはずです。「まだ全然しゃべれないじゃん」と思っている方、そうです。当たり前です。まだ「しゃべる言葉」は習っていないのですから。まだ、がまんの時です。
これからが本番。単語と単語をつなぎ、形容詞や副詞でニュアンスを出し、語尾で締める穴埋め作業を始めましょう。
韓国語は日本語と同じ、主語+述語+語尾、主語+副詞+動詞(形容詞)+語尾といった構造です。主語が省略されることも多く、これも日本語と同じです。発想が同じ、と頭に入れてください。
実際の言い方に則って覚えてみましょう。
言いたいことがあったら、まず日本語で思い浮かべます。次に一つひとつハングルに直していきます。「体で覚える」や「条件反射を身につける」はこの際、避けましょう。特にお歳を召した方々は、体で覚えるのはちょっとつらいし…。ぎこちなくてもいいのです。日本語との類似点や違いを踏まえながら、ゆっくり頭で覚えていきましょう。
まず、助詞は、日本語と同じだけの種類があると思ってください。基本中の基本「てにをは」、そして程度を表す「~さえも」「~ばかり」「~だけ」、方向性を示す「~から」「~まで」、比喩を表す「~のように」などなど、覚えれば覚えるほどニュアンスが伝わりやすいのですが、とりあえず覚えなくては、ね。
ただ、日常会話でよく使うので一度覚えれば忘れにくいともいえます。辞書などには「重要な助詞」だけで40以上載っています。
少しずついきましょう。
最初は基本の「き」である「~は」「~が」「~に」「~へ」「~の」「~で」「~を」について説明します。
◇「は」=는(ヌン)または은(ウヌ)
前者は直前の語が母音で終わる時、後者は子音(パッチム)で終わる時。パッチムで終わる場合は、連音化(リエゾン)します。私は=저는(チョ・ヌヌ)、その人は=그 사람은(ク・サラムヌ)
このように、韓国語の助詞は直前が母音か子音かで若干形が変わるものがあります。
◇「が」=가または이
前者は直前の語が母音で終わる時、後者はパッチムで終わる時。「は」の時と原理は同じです。パッチムで終わる場合は連音化します。
・「ガ」の場合 私が=제가(チェ・ガ)、飛行機が=비행기가(ピヘングギ・ガ)
・「イ」の場合 本が=책이(チェク・イ→チェギ) 日本が=일본이(イルボヌ・イ→イルボニ)
◇「に」「へ」=에
日本語の「へ」と「に」の使い分けはけっこう難しいのですが、韓国語ではほぼ統一されていると思ってけっこうです。
・学校へ=학교에(ハッキョ・エ) ・会社に=회사에(フェサ・エ)
◇「の」=의 *所有する「誰々の」でも、所属を表す時もどちらも同じです。「ウィ」と発音することもあります。
・新聞社の=신문사의(シヌムヌサ・エ)
◇「で」=에서または로
前者は、主に場所を指す時、後者は「電車で行く」など手段を表します。この2種類の用法の区別も日本語と同じです。
・下宿で寝る=하숙집에서 자다(ハスクチベソ・チャダ)
・バスで行こう=버스로 갑시다(ボスロ・カプシダ)
*에서は「~から」という意味もあります。
・학교에서 들어왔어요.(学校から帰ってきました)
◇「を」=를または을 *使い分けの違いについては、やはり前の語の最後がどう終わるか、パッチムがあるかどうかで「は」「が」の時と同じです。
・韓国語を学ぶ=한국어를 배우다(ハヌグゴルル ペウダ)
・ご飯を食べる=밥을 먹다(パブ゚ル モクタ)
*日本語と少し違う「を」の用法
「飛行機に乗る」など、日本語では「に」と表される場合に、「비행기를 타다(ピヘングギ ルル タダ)」と「를(ルル)」を使うことがあります。
ちょっと寄り道㉒ 韓国語の抑揚
みなさんは「日本語の抑揚(イントネーション)はどう覚えたらいいのですか?」と聞かれたらどう答えますか? 「日本語には抑揚がないですよ」と言う人もいるでしょう。「あってもなめらかで気にする必要ないですよ」というかもしれませんね。
この辺のニュアンスは、日韓とも似ています。「あってなきの如し」「ないと言っても実はある」です。四声がある中国語や単語によってアクセントの場所が違う英語と比べるとないようですが、男女によって、地方によって、場面によって、語気や上がり下がりが微妙に違います。
特徴的な例が、北朝鮮のニュースを読み上げるアナウンサーの抑揚です。一本気に抑揚を抑えてズドンと推し進めていくと、北朝鮮風になります。「アンニョンハセヨ~↑」と右肩上がりでだらだらっと高揚していくと、韓国の情報番組のタレントのようになります。低いままぶつぶつ言うと、映画の陰謀をはりめぐらすシーンのようになります。問いかけは少し語尾が上がり、断定調は低いまま歯切れ良く。これも日本語と同じ感覚ですね。
北朝鮮、韓国、在日コリアン、在米コリアンとそれぞれにイントネーションの特徴があるように思います。何がどう違うか、確かめながら勉強するとまた別の楽しさがあります。でも、大事なのは、「通じればいいじゃん!」ですね。
さて、助詞というのは基本形だけでなく、たくさんあります。ここから先は、作りたい文をより面白く、自分が言いたいニュアンスを出すためのプラスアルファです。
頻度を表す「~のたびに」とか、限定的・繰り返し的な意味合いがある「ごとに」「でさえも」「だけ」「ばかり」…。日本語みたいに気楽に助詞が使えるといいですね。これまた、日本語のニュアンスの分だけ韓国語にも助詞の種類があると考えてください。
いつものように、独断で決めた「ベスト10」といいたいところですが、あまりにも重要なものが多いので、「ベスト20」として紹介します。わりと頻度順、理解しやすい順から並べてみました。
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