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信仰なしに生きられるか?日本人が直面する問い

島田裕巳 宗教学者、作家

日本で著しい新宗教の衰退

記者会見に臨むオウム真理教の麻原彰晃(本名=松本智津夫)代表=1990年10月25日拡大記者会見するオウム真理教の麻原彰晃(本名=松本智津夫)代表=1990年10月25日
 けれども、日本だけではなく、世界を見回してみると、平成の時代が過ぎて行くなかで、宗教の衰退がさまざまな形で明らかになってきた。それを踏まえれば、オウム事件だけが原因だとは言えない。

 日本では、新宗教の衰退が著しく、ほとんどの教団が信者数を減らしている。しかも、平成の時代に半減したところも珍しくないのだ。

 「吹奏楽の甲子園」と呼ばれた普門館の解体がはじまっているが、ここは新宗教の代表、立正佼成会の建物である。

 解体されるのは、老朽化し、耐震の面で問題が出てきたからだが、収容人数5000人近い建物が、この教団で不要になってきたことが大きい。解体後、再建されるということにはなっていない。

 高校野球の方の甲子園で常連校になっていたPL学園の野球部が廃止されたのも、立正佼成会と並ぶ新宗教の代表、PL教団の衰退が関係している。

 新宗教の信者は、高度経済成長の時代に爆発的に増えた。その後は、新たな信者を獲得できず、信者の高齢化が進んだ。亡くなる信者も多くなり、支部の統合なども進んでいる。

神様、仏様よりスマホにすがる

 既成宗教も、仏教の本山や神道の本社に参拝する人の数は減りつつある。伊勢神宮の式年遷宮など、大規模なイベントがあるときには、人は集まる。しかし、普段の参拝者は減少している。地方から団体で参拝する人たちが減ったことが大きい。

 はっきりと数字で示されているわけではないが、初詣でさえ参拝者は減少傾向にあるように見える。

 スマホやインターネットが普及するなかで、神や仏にすがるということが意味をなさなくなってきた。何か困ったことがあれば、まずスマホを開く。そちらの方が、神や仏より、はるかに問題を解決するのに役立つのだ。

 そうしたことは、日本でだけ起こっていることではない。

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筆者

島田裕巳

島田裕巳(しまだ・ひろみ) 宗教学者、作家

1953年東京生まれ。東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究課博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任。現在は作家、宗教学者、東京女子大学非常勤講師。著書に、『「オウム」は再び現れる』(中公新書ラクレ)、『創価学会』(新潮新書)、『日本の10大新宗教』(幻冬舎新書)など。