メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

韓国で暮らす日本の子どもたちが萎縮しないために

下校した娘が聞いてきた。「日本って昔韓国に悪いことしたん?」。さて、どうする!?

藏重優姫 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授

 

拡大タリンでの日本の文化についての勉強会。

この韓国で、私は日本人

 「韓国の教育熱に確実に巻き込まれている私」に続いて、韓国での子育てについてもう一考。

 思い返せば、韓国に移住してきた時から「私は、ここでは日本人として見られる。日帝時代の敵なのだ」と構えていた部分があります。

 在韓日本人の知り合いに聞くと、「そう? そんなこと思う? それは考えすぎだよ」という言葉が返って来たので、私がちょっと敏感なのかもしれません。

 私は韓国人(朝鮮人)の日本人に対する、被害者の加害者に対する、感情を知っています。母から、親戚から、知り合いから、いろんな人から聞いてきたということもありますし、韓国の大学院に通っている頃、大学院での知り合いが「日帝時代に自分のおじいちゃんが日本兵に…」と話しかけてきたこともあります。

 もちろん、その時の彼は私に気を使いながら遠慮がちに話しかけていましたが、私がアメリカ人だったらそんな話はしなかったんじゃないかな、と。つまり、私の日本と言う部分に語りかけていたんじゃないかな、と思うんです。

 そういう意味で私はここでは日本人なのです。

 ですので、自分の娘を韓国の小学校に送る時、一番心配した事が「日本人!」と揶揄されないかということでした。韓国のルーツを持っている私が、かつて日本で「朝鮮人!朝鮮人帰れ!」と言われたように、今度は娘が韓国で「日本人!」と言われるかもしれないと思ったのです(「日本人よ、韓国人よ、在日コリアンよ、私は私だ!」参照)。


筆者

藏重優姫

藏重優姫(くらしげ・うひ) 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授

日本人の父と在日コリアン2世の間に生まれる。3歳からバレエ、10歳から韓国舞踊を始め、現在は韓国にて「多文化家庭」の子どもを中心に韓国舞踊を教えている。大阪教育大学在学中、韓国舞踊にさらに没頭し、韓国留学を決意する。政府招請奨学生としてソウル大学教育学部修士課程にて教育人類学を専攻する傍ら、韓国で舞台活動を行う。現在、韓国在住。日々の生活は、二児の子育て、日本語講師、多文化家庭バドミントンクラブの雑用係、韓国舞踊の先生と、キリキリ舞いの生活である。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

藏重優姫の記事

もっと見る