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韓国で暮らす日本の子どもたちが萎縮しないために

下校した娘が聞いてきた。「日本って昔韓国に悪いことしたん?」。さて、どうする!?

藏重優姫 韓国舞踊講師、日本語講師

娘が日帝時代のことでいじめられたら…

 とにかく、娘がクラスで「日本人!」だとか、「お前らは昔、俺らにこんな酷いことをしたんだ!」などと言われた時には、私は怒り心頭に発することでしょう。

 考えてみると、この怒りの中身には、色々あることに気づきました。

①その人個人に責任の無いことをわざと言って、傷つけようとするその低質で意地悪な態度について腹が立つ。

②私の祖父は日韓合併の数年後、14歳で単身韓国から日本に渡った。後、祖父の子どもらである2世の母を含む叔父叔母たちの悔しさ混じりの苦労話はよく聞き知った話であり、その4世代目に当たる私の娘を「日本人!」といじめることは、祖先たちの苦労までも侮辱することにつながる。

③娘の日本のルーツと言えるのは、宮崎出身の私の父である。親戚中の反対を押し切って堂々と在日2世の母と結婚し、当時から「朝鮮人」に味方する数少ない日本人であり、その父までもを侮辱することになる。私が「朝鮮」のルーツを隠さずに生きてこれたのには、父の考えや行動も多きく関わっており、そんな父を汚してはいけないからである。

 要は、娘が日帝時代のことでいじめられるようなことがあれば、それがゆえに苦しめられ、その都度闘ってきた祖先たちをもう一度踏みにじることになるので、とても腹が立つのです。

 ですから、私は娘が一年生に上がる時、担任の先生に長い手紙を書きました。10年ぶりの韓国語での文章でしたので、文法間違いも誤字もあったと思いますが、そんなこと気にしません。それは長い長い手紙になりました。

 親としての「この勢い」だけでも伝えなければなりません。先生は「丁寧な手紙をありがとうございました」とだけおっしゃっただけで、私の危惧するところとはピントが合っていないのか、ただ友達とは仲良くやっていると言うだけで、あまり日韓の歴史的問題の中で娘を捉えようとはしませんでした。

 ま、そらそうですよね。まだ煙も火も立っていないのですから。

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筆者

藏重優姫

藏重優姫(くらしげ・うひ) 韓国舞踊講師、日本語講師

日本人の父と在日コリアン2世の間に生まれる。3歳からバレエ、10歳から韓国舞踊を始め、現在は韓国にて「多文化家庭」の子どもを中心に韓国舞踊を教えている。大阪教育大学在学中、韓国舞踊にさらに没頭し、韓国留学を決意する。政府招請奨学生としてソウル大学教育学部修士課程にて教育人類学を専攻する傍ら、韓国で舞台活動を行う。現在、韓国在住。日々の生活は、二児の子育て、日本語講師、多文化家庭バドミントンクラブの雑用係、韓国舞踊の先生と、キリキリ舞いの生活である。

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