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南青山児相騒動の背後にある厄介な「固定観念」

米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士

児相一棟で地価は変わらない

 いきなり個別の名称で恐縮ですが、表参道・青山エリアの道沿いには、アルマーニやルイ・ヴィトンといった広々とした高級ブランド店が目白押しです。さらに、Avexやら伊藤忠やらOracleやら、内外の巨大企業の本社ビルが立ち並び、大通りからちょっと中に入っても、「きっと芸能人の方々がお住まいなんですね」という感じの、色々な意味でお高くみえるマンションやら戸建てやらが並んでいます。

 そのどれひとつを見ても、200億円や300億円は簡単にしそうで(さすがに戸建てはそんなにしないでしょうが)、そんな中でたった一棟100億円の公共ビルができたところで、上げる方にも下げる方にも完全に焼け石に水、周辺地価に対する影響は皆無でしょう。

 ブランドイメージも同様で、あれだけのブランド店舗とレストランと、今ならイルミネーションと人通りの洪水の中に、出来上がってしまったら、道行く人のほとんどがその存在すら知らなくなるであろう児童相談所が立とうが立つまいが、青山ブランドに与える影響など、良いほうにも悪いほうにも皆無だと思われます。

 「子供が経済ギャップを感じて可哀想」はさらにわけの分からないところで、ランチが高ければ、並び立つビルのあちこちにあるコンビニやファーストフードでおにぎりでもハンバーガーでも好きなものを買って食べればよく、そこに行く子供にとっては、山手線か地下鉄の駅の一つであって、最寄り駅が表参道だろうが巣鴨だろうがほとんど全く差はないものと思われます。

住民には「疑いようのない真実」だが……

港区子ども家庭総合支援センターの説明会 。住民らからの「南青山である必要はないのでは」と質問に区の担当者らが質問に答えた=2018年12月15日、東京都港区 
拡大港区子ども家庭総合支援センターの説明会 。住民らからの「南青山である必要はないのでは」と質問に区の担当者らが質問に答えた=2018年12月15日、東京都港区
 住民の方々が掲げる「南青山に児童相談所が建設されたら○○になる」は、それが良いものだろうが悪いものだろうが、正直いって何の根拠もなく、その是非を問うまでもなく、そもそも決して実現しないと思われるものなのです。

 にもかかわらず、何故これがこれほど大きな問題になっているかというと、第三者からはいかに荒唐無稽に見えても、そこに住む住民にとっては、それが「疑いようのない真実」として固定観念化されているからで、恐らく反対派の住民の方々は、本気で児童相談所ができると青山の地価が上がったり下がったりすると信じていて、これに異を唱えると、「非南青山民」扱いされかねないと思われます(冗談です-笑。)。

 ただ、実は地方自治の現場は、往々にして、各地にそれぞれの形で存在する、こうした住民の「固定観念」に振り回され、多大なエネルギーを浪費しているのです。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 衆議院議員・弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2022年衆院選に当選(新潟5区)。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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