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入管法改正が曝した保守・リベラル・政府の先送り

事ここに至ったいまこそ問題を直視しなければ、手の打ちようのない人口減少が生じる

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士

現実の直視を先送りする「穏健な保守」

衆院本会議で入管法改正案が可決され、拍手する安倍晋三首相(右)=2018年11月27日拡大衆院本会議で入管法改正案が可決され、拍手する安倍晋三首相(右)=2018年11月27日
 こうした現実に対して、最も分かりづらく矛盾した態度を示しているのは、いわゆる「保守」の方々であろうと思います。

 まず「穏健な保守」の方々は、従来の主張と、支持する安倍政権の掲げる入管法改正の整合性を取るために、まさに安倍政権の主張そのままに、「これは移民政策ではない。問題ある外国人技能実習制度等を改めるもので、従来の政策の延長だから問題ない。」と主張されています。

 しかし、上述の通り受け入れ側の日本の人口が急激に減少している状況で、政府の掲げる通りなら5年で30万人超、恐らくはなし崩し的にそれ以上の労働者を受け入れ続けるのですから、入ってきた外国人の方々は、どうしても職場での「人手」としてのみならず、地域や家庭の「人」として減少した日本人を代替することになります。

 これが移民政策でないはずがありません。この方々は、目の前の現実を直視することを先送りしているとしか言いようがありません。

過去の直視を先送りする「強固な保守」

 その点で、もう少し「強固な保守」の方は、今般の入管法の改正が実質的な移民政策であることを直視したうえで、「外国人受け入れには反対だ。AI、IoTの発展や、労働環境の改善で日本人の人口を増やすべきだ」と主張されます。技術の発展や労働環境の改善で人口が増える環境を作ることにはもろ手を挙げて賛成なのですが、それはつまり、いままで滅私奉公で人手に頼ってきた「保守的日本社会」というものが、それ自体持続可能ではなく、様々に変革せざるを得ないことを意味します。

 こういった方々は、今般の入管法の改正が実質的な移民政策であるという現実は直視しながらなお、「保守的日本社会」が現実にそぐわなくなったからこそ、こうした状況になったのだという過去(及び現実)を直視することは、先送りしているのだと思います。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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