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フランスは「生き埋め状態」のゴーンを救えるか?

一方的な情報発信、日本流の取り調べにやきもきするフランス人だが……

山口 昌子 在フランス・ジャーナリスト

カルロス・ゴーン氏=2016年10月20日拡大カルロス・ゴーン氏=2016年10月20日

予期せぬ悪夢だった「三度目の逮捕」

 12月22日、クリスマス休暇を前に、早朝からカルロス・ゴーン氏(64)の保釈を期待していた在日フランス大使館員にとって、氏の「三度目の逮捕」、それも「特別背任の疑い」という極めて不名誉な罪での逮捕は、文字どおり「予期せぬ悪夢」だった。

 フランス外務省の日本関係者は「これまで、あまりにも一方的な情報しか発信されなかった」と嘆く。

 はじまりは11月19日、羽田空港での劇的な「ゴーン逮捕」は、日本の有力メディアにリークされ、大きく報道された。西川広人社長兼CEO(最高経営責任者)による迅速な記者会見。その後もゴーン氏による様々な“悪行”が次々と報じられ、「極悪人ゴーン」のイメージがあっという間に出来上がった。いまや、「うっかり反論することは、独立国家日本の司法の独立を犯したり、批判したりすることになりかねないので、注意深く傍観するしかない」(関係者)という状況だ。

メディアの「日本攘夷論」も焼け石に水

 フランスのメディアは、「日本攘夷(じょうい)論」などを展開した。日本は1858年、「安政の5カ国条約」でフランス、イギリス、オランダ、ロシア、アメリカと通商条約を締結。2018年には、日仏で160周年の式典で盛大に祝われたが、残念ながら「外国人」に対して平常心ではいられない「攘夷」の気分が、事件の底流にあるという指摘だ。

 こうした「攘夷」思想の裏返しが、日産を再建したころの、ゴーン氏に対する異常ともいえるスター扱いだった。実際、当時の日本では「アラン・ドロンより知名度が高い人気男」風の持ち上げ記事が氾濫(はんらん)した。ゴーン氏が「いい気」になった原因には、フランス人もあきれ返った日本における異常なゴーン・ブームもあったかもしれない。

 ただ、この「日本攘夷論」も焼け石に水の感は否めなかった。そんななか、“ゴーン悪漢論”に対するフランス側の反撃で多少、注目されたのは、「三度目の逮捕」直前に発売された経済週刊誌「チャレンジ」の西川社長の特集だ。同誌の株主陣にはルノーが参加しているので、ルノー側、フランス側の反論とみていいだろう。

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在フランス・ジャーナリスト

産経新聞パリ支局長を1990年から2011年までつとめる。著書に『ドゴールのいるフランス』(河出書房新社)、『フランス人の不思議な頭の中』(KADOKAWA)、『原発大国フランスからの警告』(ワニブックスPLUS新書)、『フランス流テロとの戦い方』(ワニブックスPLUS新書)、『ココ・シャネルの真実』(講談社+α新書)、『パリの福澤諭吉』(中央公論新社)など。ボーン・上田記念国際記者賞、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受賞。

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