細野豪志(ほその・ごうし) 衆議院議員
1971年(昭和46年)生まれ。2000年衆議院議員初当選(現在7期)静岡5区。総理補佐官、環境大臣、原発事故担当大臣を歴任。専門はエネルギー、環境、安保、宇宙、海洋。外国人労働者、子どもの貧困、児童虐待、障がい児、LGBTなどに取り組む。趣味は囲碁、落語。滋賀県出身
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
結愛ちゃんの犠牲を無駄にできない。人生の出発点ぐらいは平等が確保されて然るべきだ
虐待を受けていた5歳の女の子が、「おねがいゆるして――」と書き残して、亡くなるという痛ましい事件が起きた。結愛ちゃんのノートの存在が明らかになった6月と比較すると報道は激減したが、熱心な議員が集まり対応を議論してきた。
取り組みを続ける中で、コーポレート・ペアレンツ(社会的共同親)という概念を知った。京都府立大学の津崎哲雄教授によると、『家庭生活をはく奪された子らに国家・社会が提供すべき支援は、実親が子に行う親業と同等でなければならず、それを自治体が責任を持って提供する』というものだ。
実践されている英国では、地方議員が選挙民子弟の社会的養育状況、委託児名・委託先などを把握しておらねばならず、随時委託先を訪問し最善の利益が確保されているかどうか掌握するよう求められているとのこと。徹底している。
目を開かれる思いがした。私が児童養護施設、虐待、子どもの貧困などに取り組むようになったのは、超低体重のため生後10日で命を落とした娘のことがあったからだ。
票と資金がものをいう政治の世界にあって、こうした問題に取り組む議員は多くない。結愛ちゃんのようなケースがあると世論は沸騰するが、長続きしない。私自身には明確な動機があり、継続して取り組んできたが、「コーポレート・ペアレンツ」、すなわち、子どもたちの親と同等の気持ちで関わってきたかと問われれば、そうではなかった。今度こそ、結愛ちゃんの犠牲を絶対に無駄にすることはできない。