
土砂投入が始まった米軍キャンプ・シュワブ(辺野古)沿岸=2018年12月14日、沖縄県名護市
土砂投入が始まった
今月14日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けて、政府が埋め立て土砂の沿岸部の海域への投入を始めました。9月末の知事選挙では、辺野古移設反対を掲げて選挙戦を戦った玉城デニー知事が当選しており、私は、「沖縄の民意」に反したこの土砂投入は、極めて残念なことだと思っています。
ただし、最初に申し上げておきますが、現時点において私は、日米間の合意としても、国の防衛政策としても、普天間飛行場の辺野古への移設が決定されていること、それ自体を否定するものではありません。
沖縄と国、二つの民意が異なる時
政治を語る上で「民意」という言葉は良く使われますが、実は民意というのは思われている以上に複雑なものです。
先に「沖縄の民意」と書きましたが、直近の沖縄知事選において玉城知事が勝利したとはいえ、沖縄にも辺野古移設に賛成な人がそれ相応にいるでしょうし、賛成でも反対でもない中間的な人だっているはずです。それでも「沖縄の民意」が「辺野古移設反対」であるといえるのは、「多数決で多数を占めた方を民意とする。」という民主主義のルールがあるからです。
とすれば、辺野古移設推進を掲げる政府与党が、2012年末の衆院選以来、国政選挙に勝利し続けている現状においては、「国の民意」は辺野古移設推進と示されているとするしかありません。
つまり「民意」というのはそれを問う問い方や問う範囲によって複数ありうるのであって、「沖縄の民意(地方の民意)」と「国の民意」が異なる事はありうるし、実際それがいま起こっている事なのです。
問題は、「沖縄の民意」(地方の民意)と「国の民意」が異なる現状において、政治はそれにどう向き合うべきかという点にあるのだと思います。