常任理事国入りの理想は一旦棚上げを
現実を見据え、準常任理事国制度の創設を新たな外交目標に掲げよう
登 誠一郎 社団法人 安保政策研究会理事、元内閣外政審議室長

米国がエルサレムをイスラエルの「首都」と宣言したことを受け、国連安保理では欧州の理事国も含め、米国批判が相次いだ=2017年12月8日、米ニューヨークの国連本部、
戦後の日本外交の3大悲願
私は戦後20年目に当たる1965年に、同期生19名とともに外務省に入省したが、研修所におけるオリエンテーションの中で、大使OBの研修所長から受けた訓示の一つは、「戦後の日本外交の悲願ともいわれる案件が3つあるが、諸君が現役でいる間に是非それらを解決するよう努力してほしい。」というものであった。
その3つとは、①北方領土の返還と日ソ平和条約の締結、②北朝鮮との国交正常化、③国連安保理の常任理事国入りであるが、そのいずれも54年後の今日に至るまで解決していない。
このうち、北方領土については、日ロ双方が歩み寄って年内に基本的合意ができる可能性が、戦後初めて現実的なものとなりつつある(12月3日の拙稿「北方領土交渉の行方が見えてきた」参照)。
他方、北朝鮮との国交正常化問題は、正に我々が外務省に入省した直前の2月に日韓基本条約の仮調印が行われ、取り残された北朝鮮との関係をどうするかが将来の課題として認識されていた。この問題は今後の米朝協議の行方に大きく左右されるが、昨年のトランプ-金正恩会談にもかかわらず、北朝鮮の非核化の進展が困難な現状では、日朝国交の正常化は全く見通しがたたない。
そこで、新たな年を迎えた機会に、3番目の悲願である安保理常任国問題に焦点を当て考えてみたい。