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シャットダウンの米国で考えた移民とこの国のこと

トランプ政権のシャットダウンは移民の国アメリカのアイデンティティにつながる問題だ

山本章子 琉球大学准教授

アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館を訪ねて

 私事で恐縮だが、私にはアメリカに住んで11年になる妹がいる。旅行中、妹とそのパートナーのJ、Jの母親の3人がワシントンD.C.まで会いに来てくれた。J親子はアフリカ系アメリカ人で、Jはジャズミュージシャン、母親は高校の社会科の先生だ。

 J親子に誘われて、2016年9月に開館した、スミソニアンのアフリカ系アメリカ人歴史文化博物館をともに訪ねた。Netflix(アメリカのオンライン映像配信サービス会社)の番組で、この博物館が特集されたこともあり、入館30分待ちの長蛇の列ができていた。

 博物館の歴史展示コーナーは、地下の最下階の奴隷貿易から始まる。南北戦争、ジム=クロウ法、公民権運動と歴史が進むにつれ、上の階に登っていく。薄暗い狭い回廊から、最後は光の差す広い場所に出るように設計されている。展示を締めくくるのは、初のアフリカ系アメリカ人大統領、オバマのスピーチだ。

 膨大な数のイラストや映像に添えられた説明には、両論併記も忖度(そんたく)も存在しない。圧倒的な事実。それがすべてである。

 J親子のルーツは、アフリカ大陸からカリブ海の西インド諸島に売られてきた奴隷だという(アメリカでは、自身のルーツを調べることが盛んだ)。彼らは約4時間かけて歴史展示コーナーを見、祖先の歴史を追体験した。

移民が選んだ国だからこそ

トランプ政権の移民政策に抗議した移民デモ活動に参加した歌手のアリーシャ・キーズさん(壇上右)と女優のアメリカ・フェレーラさん(同左)=2018年6月30日、ワシントン 
拡大トランプ政権の移民政策に抗議した移民デモ活動に参加した歌手のアリーシャ・キーズさん(壇上右)と女優のアメリカ・フェレーラさん(同左)=2018年6月30日、ワシントン
 長く残虐で理不尽な歴史をあらためて知った二人が口にしたのは、「それでも自分たちは、アメリカを祖国として『選び直した』」という言葉だ。
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筆者

山本章子

山本章子(やまもと・あきこ) 琉球大学准教授

1979年北海道生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。2020年4月から現職。著書に『米国と日米安保条約改定ー沖縄・基地・同盟』(吉田書店、2017年)、『米国アウトサイダー大統領ー世界を揺さぶる「異端」の政治家たち』(朝日選書、2017年)、『日米地位協定ー在日米軍と「同盟」の70年』(中公新書、2019年)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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