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禁じ手「自社さ」村山政権の意義と限界

平成政治の興亡 私が見た権力者たち(7)

星浩 政治ジャーナリスト

想定外の大災害、阪神大震災が発生

阪神大震災で倒壊した阪神高速道路=1995年1月拡大阪神大震災で倒壊した阪神高速道路=1995年1月
 事実上の「山花新党」の旗揚げが予定された17日、村山政権への打撃は大きいと見た朝日新聞政治部のメンバーは早朝から動き出していた。そこに想定外の大災害が起きた。阪神・淡路大震災である。「山花新党どころではない」事態になった。

 17日午前5時46分、兵庫県南部を震源とするマグニチュード7.2の直下型地震が発生。神戸市などで甚大な被害が出た。死者は6434人、被災者は30万人を超えた。

 地震発生直後から、NHKがヘリコプターから中継した。市街地の火災や高速道路の倒壊など衝撃的な映像が流れた。私は、建設事務次官経験者で土木技術者でもある自民党の井上孝・元国土庁長官に電話した。「高速道路は絶対に倒壊しないように設計してあるんだ。それが壊れるとは……」と絶句したのを覚えている。

 村山内閣で災害対策の責任者だった小沢潔国土庁長官の動きが遅く、政府部内から不満が出た。村山首相は、野中広務自治相・国家公安委員長の進言を受けて、小沢長官を事実上、更迭し、小里貞利・北海道・沖縄開発庁長官を震災担当特命相に起用。小里氏は政府の司令塔として動き出した。それでも自衛隊の出動などの遅れが目立ち、野党からは危機管理能力の不足が指摘された。

「平成日本」を揺るがせたオウム事件

防護服に身を固め、カナリアの入った鳥かごを手にオウム真理教施設へ捜索に向かう捜査員ら=1995年3月22日、当時の上九一色村拡大防護服に身を固め、カナリアの入った鳥かごを手にオウム真理教施設へ捜索に向かう捜査員ら=1995年3月22日、当時の上九一色村
 ほぼ2カ月後の3月20日朝。こんどは東京・霞が関の地下鉄で猛毒のサリンがまかれる。乗客・駅員13人が死亡、約6000人が負傷。捜査当局はオウム真理教のメンバーによる犯行と断定し、22日には山梨県上九一色村(現・河口湖町)のオウム真理教総本部の家宅捜索に踏み切った。

 3月30日には警察庁の国松孝次長官が自宅マンションを出たところで狙撃され、重傷を負った。衝撃的な事件だった。サリンがまかれたオウム事件との関連が取りざたされたが、いまだに犯人は特定されていない。

 オウム真理教をめぐっては、①教団と対立する弁護士とその家族を殺害した坂本堤弁護士一家殺害事件②長野県松本市で教団支部の立ち退き訴訟を担当していた裁判官の殺害を狙ってサリンをまいた松本サリン事件、なども捜査されていた。捜査当局は95年5月16日、オウム真理教の麻原彰晃(本名・松本智津夫)教祖を殺人などの容疑で逮捕。麻原教祖は最終的に27人の殺人罪で起訴され、2006年には最高裁で死刑が確定する。

 結局、オウム事件をめぐっては、麻原教祖を含む13人に死刑判決が下された。13人の死刑は2018年7月、2回に分けて執行された。文字どおり、平成の日本を揺るがせた大事件だった。


筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

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