「辺野古」県民投票の会代表の元山さんに聞く
東京に出て歴史を学び、基地に目が向いて、沖縄の痛みを感じられるようになった
岩崎賢一 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー
「SEALDs RYUKYU」の体験を踏まえ
――投票結果だけでなく、プロセスにおいて、世代間、本島と離島の対話を重視するということですね。
私はかつて、「SEALDs RYUKYU」というグループで、辺野古への基地建設について「反対」という立場で行動してきた過去があります。
SEALDs RYUKYUは今、メンバーが就職や大学院に進学してしまったため、休止状態です。この時、沖縄において活動の広がりを感じられなかったということです。いきなり、賛成や反対の意思表示を示すというのは、ハードルが高いわけです。
沖縄では、基地を巡るこれまでの議論の積み重ねがあって、若い人たちがちょっと何かを言っただけで「何も分かっていない」と言われてしまうことがあります。安易に基地問題を語れない風潮があるのです。
だから、県民投票なら、賛成でも反対でもいいので、まず思っていることを口に出して話してみることが大事なのではないかと考えています。フェイクニュースやデマは正していかなくてはいけませんが、このスタンスで2月24日の投開票日まで取り組んでいきたいと思います。
――反対だけでは広がらないという趣旨の話がありました。今、意見を出しにくい風潮が沖縄にあって、県民投票をやることによって自然なかたちで意見を交わせるようになった方が沖縄の未来のためにいいということでしょうか。
もちろん、私たちより上の世代で、賛成や反対で意見が固まっている人はいるでしょう。その人たちも、話し、学び、考えた末にそこに行き着いたと思います。私たちも同じステップを踏まなくてはいけないと思っています。

「全県で実施『黄色信号』」と報じる朝日新聞の2018年12月26日朝刊