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Chim↑Pomの卯城竜太さん拡大Chim↑Pomの卯城竜太さん=筆者提供

12月25日(火) 朝8時半にホテルをチェックアウトして、西予市野村町へ。以前の取材でお世話になったNさん宅を訪ねると、今日の仮設住宅の餅つき大会に手伝いに行くという。それに加えて、野村町の仮設保育所が今日まさに仮オープンするとのことだった。僕らは、高台にある仮設住宅に住む林千幸さんの元を訪ねるために移動。ちょうど開所したばかりの仮設野村保育所に多くの地元メディアが取材に来ていた。林さんの元のお宅のすぐ近くに野村保育所があって、あそこもダムの一斉放流の結果、水没した。危険地帯に指定され、そこでの再開は無理と判断され、この高台に仮の施設としてオープンしたのだった。今日はクリスマス行事も一緒に行われていて賑やかな様子だ。せっかくなので取材に入った。地元のテレビ局は全社取材に来ていた。

 みると、すでに仮設住宅の支援ボランティアの人々が餅つきの準備を終えたところだ。ボランティアの中心になっているのは、地元の曹洞宗安楽寺の若手僧侶たち。一生懸命に餅つきをして、つきあがった餅を、食べやすいサイズに小分けにこねているのが住民たちだ。高齢者が多いが、若者たちもいた。ここの仮設住宅は、木の材料が多く使われていて何だか気が休まる。久しぶりにお会いした林さんはお元気だった。奥様は病院に通っていて不在。林さんは9月6日にこの仮設に入居した。「狭いながらも落ち着きました」と語る林さんだが、九死に一生を得たあの水没当時のことは忘れられない記憶として残っているようだった。今月行われたダム放流についての住民説明会には全く納得していないようだった。餅つき大会の場所に仮設保育所の園児たちがやってきた。仮設住宅の入居者たちの表情が一斉に緩む。その後、松山空港から羽田へと戻る。

12月26日(水) 朝早起きしてプールで泳ぐ。今日発売の週刊誌に広河隆一氏のスキャンダルが出ているようだ。驚いた。『DAYS JAPAN』終刊号に寄稿を依頼されていたので複雑な気持ちになる。世の中はきわめて緩慢に、しかしきわめて確実に、気持ちが悪い方向に進んでいる。そんな午後、今年2番目に不愉快な出来事に遭遇する。

 17時からワシントン在住のIさんと歓談後、「創」「日本ビジュアル・ジャーナリスト協会」「新聞労連」等主催で、シンポジウム『安田純平さん解放とジャーナリズムを考える~戦場取材の意義と「自己責任」論~』(文京区民センター)に参加。470人キャパの会場が満席になった。その後、安田さんを囲む懇親会にも参加。安田さんはかなり痩せていた。3年4か月の拘留生活。想像を絶する。ただシンポジウムは仲間内の議論に終わったので、次回は「自己責任論」支持者を含めた話し合いにした方がいい、とはIさんのご指摘。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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