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田中均氏が正念場に来た日本外交へ直言する

対立を深める日韓、停滞する日朝、北方領土交渉で揺れ動く日ロ、そして中国との関係…

田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

ロシアとの関係は過去・現在・未来を直視せよ

 日本政府は「新しいアプローチ」に基づく北方領土・平和条約締結交渉を言うが、ロシアが従来から変わったとは全く思えない。それどころかロシアの北方領土に対する姿勢は明らかに後退している。

 今日ロシアは、北方領土は戦争によって合法的に獲得したロシア領土であることを日本側が認めることが前提だと言い、1956年の日ソ共同宣言には平和条約の締結後、歯舞群島及び色丹島については日本に「引き渡す」としか書かれていないので、これは必ずしも日本の領土として返還することを意味しないと主張するに至っている。

 勿論政府は日本の従来の立場を変えていないと説明するし、交渉結果を見て判断すべきものではあるが、表面上は日本が急いで平和条約を結ぶため、ロシアへの譲歩をいとわないと映る。

 いつまでたっても動かない状況を打開することは必要だし、首脳が強い意志を持たない限り大きな外交はできないことも事実だ。

 ただ、だからと言ってこれまで国民にも支持されてきた立場を大きく逸脱することはあってはならない。領土問題は国の主権の核心部分だ。また、近年ロシアの体制がプーチン大統領の下でより専制体制化し、ロシアのウクライナや各国への選挙介入などの行動が強い国際的批判を浴びている時に日本が大きく譲歩する積極的理由は見出しがたい。

拡大ロシアのプーチン大統領(右)との首脳会談に臨む安倍晋三首相=2018年11月14日、シンガポール

 そのうえで考えると、おそらく三つの最低条件がクリアされる必要があるのだろう。 ・・・ログインして読む
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筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事館総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー。2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。著書に『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。

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